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錦田愛子

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慶應義塾大学法学部教授

報告

解説イスラエル軍の撤退を受けて「勝利」を宣言したものだが、実態の戦闘の結果としては大敗に近い。30年間、ヒズブッラーを率いてきたナスルッラー書記長を殺され、ポケベル爆弾などで多くの戦闘員を失った。その後もイスラエルに向けてミサイル攻撃は続けられ、ゲリラ組織としての存続は示したものの、組織と戦力の消耗は否定できない。今回はイスラエル側の選択的・戦略的撤退といえるだろう。 レバノン戦線での停戦が、ガザでの停戦につながるかは、予断を許さない。ガザを主戦場として、レバノンは拡大戦線との位置付けであり、イスラエル北部の安寧の確保の上でも停戦のメリットは大きかった。その意味では両地に対する戦略的判断は異なる。次期トランプ政権の成立が確定し、次の段階に踏み出す決定が下されても不思議はないが、まだ人質も多く残る。どんなカードが有利に働くか、イスラエル側の判断に委ねられているといえよう。

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コメンテータープロフィール

専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。

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