Yahoo!ニュース

六辻彰二

六辻彰二認証済み

認証済み

国際政治学者

報告

補足一連の発言は確かに存在感を示すものだろうが、ただの「挑発」ではなく「恫喝」に近いものもある。 グリーンランド購入提案をデンマーク政府が断ると取引規制に言及しただけでなく、「軍事行動を選択肢から排除するつもりはない」とさえ述べた。 グリーンランドはロシアが米国にミサイルを発射した場合の最短コースに近く、おまけに近年では中国の経済進出が目立つ。 だからトランプがグリーンランドに強い関心を持つのは不思議ではない。 また、軍事行動すら否定しないのは「緊張感を一気に高めて自分のペースに持ち込む」トランプ流の交渉術で、実際に米軍が動く公算は限りなく小さい。 とはいえ領土譲渡の強要が反発を招くのは当然だ。ましてデンマークはNATO加盟国でもある。 そのためフランス外相が「帝国主義的」と呼ぶなど、欧州からはトランプ発言への反発が噴出している。 同盟国間の亀裂は、結果的に中ロを利することにもなりかねない。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 高橋浩祐

    米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

    見解米国のような大国が経済的・軍事的圧力をかけて小国に要求を飲ませようとする。バロ仏外相は米軍がグリーン…続きを読む

  • 西山隆行

    成蹊大学法学部政治学科教授

    見解過激で相手にとって受け入れ不可能な発言をし、交渉相手を揺さぶることで自分の有利な状況を作り出そうとい…続きを読む

コメンテータープロフィール

博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。

六辻彰二の最近のコメント