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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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解説イスラエルのハアレツ紙がパレスチナ筋や西側外交筋に取材し、ハマスは停戦合意を望み、イスラエル軍の段階的撤退やレバノンのヒズボラ合意のように60日間の監視期間を設定してもよいと言っていると報じている。問題はネタニヤフ首相に停戦の意図があるかどうかだが、停戦しても人質解放以外利点がなく、これまで国内世論の強い反発を受けても人質解放を重視しなかったことを考えれれば、11月から停戦間近と言われている交渉はイスラエルにとってはトランプ就任まで攻撃を続け、ガザ北部の破壊や住民排除の「既成事実」をつくろうとしているのだろう。これも、これまで米国だけでなく欧州主要国や日本がイスラエルに攻撃停止を迫る圧力をかけてこなかったためである。トランプ大統領は前政権時の対応を見ても、入植地でも和平でもイスラエルの「現状」を追認する形であり、イスラエルにとって現在の交渉はガザ攻撃を続けるための時間稼ぎと見るべきだろう。

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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