見解停戦交渉は始まってもイスラエルメディアの報道を見ると、ハマスは人質全員解放と戦闘終結、イスラエル軍撤退を条件として停戦するつもりとされるが、ネタニヤフ首相はなお「ハマス壊滅の戦いは続く」と言っているという。10月以降、イスラエル軍が大規模な破壊と住民の強制退去を行ったガザ北部を今後どうするつもりかも明らかになっていない。首相はガザを南北で分断する回廊に軍を維持して、北部を支配するとか、数キロの緩衝地帯をつくるとか、そこに新たな入植地をつくるとか、いろいろな話が出ている。人質の全員解放と引き換えに北部から全面撤退とはならないだろう。トランプ大統領就任後になれば、前トランプ政権で積み残しとなっていたサウジアラビアとイスラエルの国交正常化がガザ停戦と関連付けられる可能性もある。停戦の第1段階で「人質34人の解放」ができたとしても、イスラエルの全面撤退までには相当な紆余曲折が予想される。
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コメンテータープロフィール
元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com