見解日本は2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを目標としています。2013年の排出量から2050年ゼロに向けて直線的に減らすと考えた場合に、2035年は60%程度の削減となります。今回出てきたのはそのような数字です。 一方、世界ではパリ協定において産業化前からの平均気温上昇量を1.5度に抑える目標を掲げています。別の記事によれば、政府は日本の60%削減目標が、この1.5度目標と整合すると説明したいようです。しかし、日本が先進国の責任として世界全体のペースよりも早く削減すべきことを考慮すると、60%削減目標が1.5度と整合するという主張は、国際的には通用しないように思います。 2021年に、日本が2030年46%削減の目標を立てた際には、当時の菅首相が政治的なリーダーシップを発揮しました。今回も重要な目標なので、行政と審議会に任せるだけでなく、国会でも議論して頂きたいものです。
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コメンテータープロフィール
1970年神奈川県生まれ。1997年に東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程にて博士号(学術)を取得後、国立環境研究所に勤務。同研究所 気候変動リスク評価研究室長、地球システム領域 副領域長等を経て、2022年より現職。東京大学大学院 総合文化研究科で学生指導も行う。専門は気候科学。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次および第6次評価報告書 主執筆者。著書に「異常気象と人類の選択」「地球温暖化の予測は『正しい』か?」、共著書に「地球温暖化はどれくらい『怖い』か?」、監修に「最近、地球が暑くてクマってます。」等。記事やコメントは個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
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