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お年玉は課税される?親に預けた分は親から取り返せるか #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

子どもが親戚からたくさんのお年玉をもらった場合、贈与税は課税されるでしょうか。また、子どものときにお年玉を親に預けたものの、うやむやになっているという人も多いでしょうが、今になって親からその分のお金を取り返せるでしょうか。お年玉を巡る法的問題について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「子ども一人に渡す金額を学齢別にみると、小学生1000~3000円、中学生3000~5000円、高校生5000~1万円」
出典:プレジデントオンライン 2024/12/31(火)

「お年玉は年末年始の贈答に該当するため、基本的には非課税」「あまりにも高額なお年玉は非課税にならない可能性がある」
出典:ファイナンシャルフィールド 2024/12/29(日)

「親には子どもがもらったお年玉を管理する権利があり、そのためにお年玉を預かることは認められています」
出典:東京東部法律事務所 2017/1/6(金)

「子ども名義の預貯金口座を開設し、そこに入金しておくのがベター」「遊興費など親の私的な用途に充てることは許されない」
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 前田恒彦 2024/1/1(月)

エキスパートの補足・見解

国税庁によると、お年玉は年始の贈答として「社会通念上相当」と認められる金額であれば非課税です。数万円程度ならセーフでしょう。しかも、10人の人から1人1万円ずつもらったら合計10万円ですが、1人あたりの贈与額は1万円なので、10人分が非課税となります。

逆に、1人から数十万円とか数百万円をもらったら、相当な金額を超えており、贈与税の課税対象です。ほかの贈与分と合わせ、110万円の基礎控除額を超えているか否かが重要となります。とはいえ、一般の家庭でこうした事態になることはまずないでしょう。

一方、子どもがもらったお年玉を親が預かって管理すること自体は法的に問題ありませんが、勝手に使い込むのはNGです。しかも、親の管理権は子どもが成人した時点で消滅します。親は小遣いとして渡したものなど正当な使途分を差し引いた上で、残りを子どもに引き渡す法的な義務があります。

ただし、たとえ親が使い込んでいたとしても、子どもの親に対する損害賠償請求権は親の管理権の消滅から5年で時効になります。成人したのがはるか昔の話であれば、現実には親からお年玉のお金を取り返すことはできないでしょう。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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