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他人あての年賀状が間違って届いた!どうすればいい? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

メールやSNSが普及し、郵便料金も値上がりしたことで、ますます年賀状離れが進んでいます。年賀はがきの発行枚数もピーク時の4分の1まで減少しました。それでも10億枚を超えていますし、もらうとうれしいのは確かです。他人あての年賀状が間違って届いたり、届くべきものが届かなかったり、配達途中で破れたりしていた場合、どうすればいいでしょうか。年賀状を巡る法的問題について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「『誤配』と明示して郵便ポストに入れるか、郵便局に届け出てください」
出典:RadiChubu-ラジチューブ- 2020/1/10(金)

「破棄してしまった場合は、『器物損壊罪』(中略)として、罪に問われる可能性があります」
出典:弁護士ドットコム 2016/1/1(金)

「住所の間違いや投函時期などを確認し、それでも年賀状が届いていない場合は郵便局に調査依頼ができます」
出典:しまうまプリント 2022/10/23(日)

「配達中にはがきや封書を紛失して何らかの損害を生じさせても、郵便局に賠償の責任はない」
出典:PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 2013/6/4(火)

エキスパートの補足・見解

年賀状が間違って届いた場合、郵便法の規定により、面倒でも「誤って配達されたものです」と付せんなどに書き、はがれ落ちないように貼り付けた上で郵便ポストに投函するか、現物を郵便局に持参し、誤配であることを告げて局員に渡さなければなりません。

一方、届くべき相手からの年賀状が届かなかった場合、差出人も受取人も日本郵便に調査を求めることができます。この調査により、配達員が大量の年賀状を配りきれずに隠したといった事件が発覚し、郵便物隠匿罪で立件されることも現にあります。

ただし、その場合でも、差出人や受取人は日本郵便に損害の賠償を求めることができません。配達されなかったお年玉付き年賀はがきが当せんしており、改めて配達された時にはすでに引き換え可能日から6か月という有効期限を過ぎていたとしても同様です。

というのも、郵便法は、日本郵便が負担する損害賠償責任の範囲について、書留や代金引換のほか、引受けや配達などを記録する郵便に限定しているからです。同様に、集荷や仕分け、配達の途中で破れたり、濡れたり、汚れたりしていても、差出人も受取人も日本郵便に損害の賠償を求めることができない決まりとなっています。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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