お年玉を親に預けたら、そのままうやむやに 親から取り返せるか、法的な問題は
兄弟漫才の中川家がラジオで興味深い話をしていた。子どものときにもらって預けたお年玉の行方を親に問い詰めたものの、「知らんで」「あんた刑事か」などと言われ、うやむやにされたという。同じような経験をした人も多いのではないか。こうした場合、親からそのお金を取り返せるだろうか。
預かるのはOK、使い込みはNG
子どもがもらったお年玉のお金は「贈与」であり、法的には子ども本人のものだ。しかし、判断能力が乏しい子どもに無駄使いをさせたくないというのも親心であり、民法では、未成年者を保護するため、親権者が子どもの財産を管理できる仕組みとなっている。子どもがもらったお年玉を親が預かること自体は問題ない。
しかし、あくまで「管理」できるだけで、親が勝手に使い込むことまでは認められていない。子ども名義の預貯金口座を開設し、そこに入金しておくのがベターだ。これをせず、遊興費など親の私的な用途に充てることは許されない。
親からすると、子どもがもらったお年玉を子どもの教育費や食費に充てたと言いたいところだろうが、本来、そうした費用は扶養や監護の義務を負う親が自らのお金でねん出しなければならない。
しかも、この管理権は子どもが成年に達した段階で消滅するから、親はその時点でそれまで管理していた子どもの財産の収支を遅滞なく子どもに明らかにする必要がある。その財産で得た収益、例えば銀行に預けた際の利子分は養育費などと相殺できるし、小遣いとして渡したものなど正当な使途分も差し引けるが、元本の残りは子どもに引き渡さなければならない。もし子どもの財産を勝手に使い込んでいたら、子どもにその損害を賠償する法的義務がある。
時効に注意
祖父母が幼い孫のために遺産を残し、親がその管理中に勝手に使い込んで浪費したようなケースの場合、家庭裁判所で管理権喪失の審判が下されることもある。親族間の特例規定があるので刑こそ免除されるものの、刑法の横領罪も成立する。
ただし、たとえ親が子どものお年玉を使い込んでいたとしても、子どもの親に対する損害賠償請求権には時効があるので注意を要する。子どもが成人となり、親の管理権がなくなってからわずか5年で時効により消滅する。はるか昔に成年に達した人だと、親に預けて使い込まれたお年玉のお金を親から取り返すことはできないだろう。(了)