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一部の薬局での「緊急避妊薬」試験販売が東京都で再開 #専門家のまとめ

高垣育薬剤師ライター、国際中医専門員
(写真:イメージマート)

全国の一部の薬局で特例的に処方箋なしで「緊急避妊薬」を購入することができます。予期せぬ妊娠の可能性のある人が、医療機関での受診を経ずに薬局で緊急避妊薬を購入し、適切に利用する仕組みづくりの検討に必要な情報を集める研究のためです。東京都では試験販売を一時中断していましたが、10月29日に再開しました。そこで改めてこの事業で緊急避妊薬を購入できるのはどのような場合なのかということや、購入できなかった場合の対処法、薬の価格などをみていきましょう。

ココがポイント

販売できる方(中略)緊急避妊薬を購入して服用を希望し、研究参加同意をいただける16歳以上の女性(本人)

出典:公益社団法人日本薬剤師会

緊急避妊薬の購入費用(7.000円~9.000円程度)
出典:公益社団法人日本薬剤師会

販売の対象外となる場合(中略)は、医療機関(産婦人科など)での対面診療またはオンライン診療による緊急避妊をご検討ください。

出典:公益社団法人日本薬剤師会

厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した緊急避妊にかかる対面診療が可能な産婦人科医療機関等の一覧
出典:厚生労働省 2024/10/10(木)

オンライン診療に係る緊急避妊薬の調剤が対応可能な薬局及び薬剤師の一覧

出典:厚生労働省 2024/8/31(土)

エキスパートの補足・見解

日本では現在のところ医療機関を受診することなく緊急避妊薬を入手することはできません。「緊急避妊薬販売に係る環境整備のためのモデル的調査研究」に参加する場合のみ特例的に薬局で購入することができます。

試験に参加して薬局での緊急避妊薬の購入を希望する場合には、次の2点を確認しておくことがすすめられます。

1、購入できるのは全国で339薬局のみ

緊急避妊薬の試験販売を行っている薬局は全国の一部の薬局(2024年10月時点で339店舗)のみで、どこの薬局でも購入できるわけではありません。試験に参加している薬局は「緊急避妊薬の適正販売に係る環境整備のための調査事業」のウェブサイトで確認できます。薬局のリストは、ウェブサイトをよく読み、内容を理解した旨のチェックをしたうえで閲覧することができます。

2、薬局へは必ず事前に連絡をします

事前連絡することなく薬局を訪問すると、せっかく足を運んだのに「薬の在庫がなかった」「担当の薬剤師が不在だった」「プライバシーを確保できる個室が埋まっていた」等の理由で購入できない場合があるためです。また、連絡は必ず本人がしましょう。本人以外への購入希望に対する案内は行われていないためです。

また、繰り返しになりますが、もしこの調査研究での販売の対象外となってしまったり、研究の内容を確認して参加を望まない場合で薬を購入できなかったときには、医療機関での対面診療やオンライン診療による緊急避妊という選択肢があります。

お住いの近くの「緊急避妊に係る対面診療が可能な産婦人科医療機関」「オンライン診療に係る緊急避妊薬の調剤が対応可能な薬局及び薬剤師」の一覧は本記事の「ここがポイント!」で紹介しています。困ったときには参照していただき、必要な場合には受診するようにしてください。

薬剤師ライター、国際中医専門員

2001年薬剤師免許を取得。2017年国際中医専門員の認定を受ける。調剤薬局、医療専門広告代理店等の勤務を経て2012年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書「犬の介護に役立つ本」(山と渓谷社)の出版を契機に「人」だけではなく「動物」の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行っている。

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