ソニーがKADOKAWAの買収交渉 狙いを考察 #専門家のまとめ
ソニーがKADOKAWAの買収に向けて交渉中というニュースをロイターが報じ、それを受けて大手メディアが「後追い」をして話題になっています。KADOKAWAが認めた通りまだ交渉初期ではありますが、買収の狙いを考えてみます。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
買収について、報道ではソニーグループのエンタメ事業の強化と報じています。背景には世界的な巨大企業によるエンタメの主導権争いがあります。
ソニーは「電機大手」だった時代から音楽、ゲーム、映画の事業に進出。時には苦戦して、畑違いなどと批判をされながらも事業を拡大し、今ではエンタメ事業(アニメ、音楽、映画)だけで売上高7兆円を誇ります。
ゲームやアニメなどのビジネスは、開発・制作費の高騰、人材の囲い込み、有力コンテンツ(IP)の確保といった事情から合従連衡が進んでいます。少子高齢化で成長が見込めない日本市場だけでは生き残りは厳しく、海外進出は必須です。
特にソニーやマイクロソフトは買収に積極的。またグーグルやアップル、アマゾンなどもエンタメに注力しています。根底には、エンタメコンテンツの持つ「ソフトパワー」がより重視されていることがあります。
KADOKAWAもサブカルチャーを軸に海外進出に力を入れていました。エンタメで世界展開をしたソニーの力は欲しいところ。また企業のイメージがダウンする事件が続いており、イメージを回復させる手にもなりえます。
ただし懸念もあります。ソニーは世界を意識する分、コンテンツ制作のハードルが高く、かつ事業の成果を求める傾向にあります。一方でKADOKAWAは「攻め」のコンテンツも多く、こうした企業文化の相違が買収後のコンテンツ制作の障害になりうる可能性も考えられます。両社とも日本を代表する企業で知名度は抜群ですが、売上高の比較では12兆円と2500億円という差があります。
なおこの手の話は、急な失敗や破談もありえる話です。同時になぜこの買収交渉が漏れたのか、また明かした関係者の狙いも気になるところです。