Yahoo!ニュースこの1年の取り組み
Yahoo!ニュースは、日々コンテンツパートナーの皆さま(以下、パートナー)から配信いただく数千の記事をユーザーにお届けしています。ここでは、信頼されるサービスを目指して注力した施策を紹介します。
2023年のYahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは「課題解決と行動につながるニュースを伝える」をミッションに掲げており、公共性が高い情報流通の場として、多様な情報や意見が健全に流通することを大切にし、多くの利用者の方々から信頼されることに加え、安心してご利用いただけるようサービス運営にあたっています。
2023年も世界を揺るがすさまざまな出来事が起き、国内でも重大なニュースが次々に報じられました。なかには、課題をはらんだものも少なくありません。Yahoo!ニュースでは、ユーザーに対しわかりやすく多角的に伝えるべく、さまざまな表現手段を用いた情報発信に取り組みました。
また、コメント欄においては継続的な健全化を行っています。新たに「コメント多様化モデル」「コメントAI要約β版」「リアクションボタンのリニューアル」などを導入する一方、専門家集団であるYahoo!ニュース エキスパートによる「+解説」の表示も始まりました。専門家コメントをよりユーザーに届けやすくすることが狙いです。
そして、公正取引委員会が公表した「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書」に対しては、パートナーとのさらなる健全な関係構築を目指し、今後の方針を示しています。
媒体数・記事本数
パートナーであるメディア企業460社、契約媒体数730媒体から、毎日約7,500本の記事を配信していただいています(2023年11月時点)。
1. 有事に迅速な対応
災害への対応
避難所の開設状況などを示した災害マップなど、きめ細かく情報提供
※最新の対応について、2024年1月の事例をもとにご紹介します
これまで災害発生時には、Yahoo!ニュース トピックス(以下、トピックス)などを通じ、関連ニュースや映像ニュースのライブ配信、グラフィックを用いた解説などをまとめた特設ページや、現地からの投稿をまとめ、被災状況を可視化したYahoo!天気・災害の「災害マップ」などで分かりやすい情報提供を心がけてきました。また、システム面においても、継続的に負荷対策を講じています。
「能登半島地震」では、上記の取り組みに加え、寒さ対策など被災者に寄り添った図解を制作。SNSの偽情報に対しては、警鐘を鳴らすトピックスや図解を掲載したほか、Yahoo!ニュース コメント上ではコメント利用者に対しても注意喚起をしました。また、他サービスと連携し、災害マップでは、被災地の情報ニーズに応じて、避難所の開設状況などを示した新機能を提供。「能登半島地震」に関する最新情報をまとめた特設ページに加え、ボランティア情報や寄付、罹災証明の申請方法などをまとめた特設ページ「生活再建・支援情報」を早期に立ち上げ、システムも安定稼働を実現し、素早くきめ細かく情報を届けました。
2. テクノロジーの力で改善
独自AI「コメント多様化モデル」の導入
コメント欄でより多様な意見を上位に表示
Yahoo!ニュースは、世の中にある自分の考え以外の多様な意見に触れることで、新たな気づきや視点を得ることができると考え、2007年よりコメント欄を提供してきました。
2023年4月には、独自AI 「コメント多様化モデル」が選んだコメントを優先的に表示することで、コメント一覧の上位に、より多様な意見が表示されやすくなる機能の提供を開始しました。この機能の導入により、多くの人が共感している意見を表示しつつ、視点の違う意見や少数派の意見にも気づきやすくすることを目指しています。
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コメント欄を生成AIで要約する機能の試験提供を開始
ユーザーへ新たな気づきを提供し、ニュースの理解促進をサポート
2023年10月にコメント欄では、OpenAIの生成AI(GPT-4)を利用し、ユーザーが投稿したコメントを要約して閲覧できる機能「コメントAI要約β版」(以下、本機能)の試験提供を開始しました。生成AIを活用し、さまざまな観点から寄せられる多くのコメントを要約して伝えることで、ユーザーがより新たな気づきを得ることや、ニュースの論点をわかりやすく理解することの手助けができるのではないかと考え、本機能の試験提供に至っています。
本機能は、コメントが一定数以上投稿されている記事のコメント欄に提供しています。「おすすめ順」の上位に掲載されるコメントを対象に、コメント欄の注目ポイントやユーザーに気づきを与えるコメントを要約して表示し、加えてコメント欄の話題と関連性の高いワードを3つ抽出することで、ニュースに関する多角的な視点の提供と理解促進を図っています。本機能は、ユーザーの反響などを踏まえながら改善に取り組むとともに、機能提供の継続について検討していきます。
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コメントリアクションボタンのリニューアル
これまで以上に多様な意見を表現できるコメント欄へ
従来コメント欄に設置していた、親指アイコンで表現した「そう思う・そう思わない」のボタンは、賛否を問う形式のためユーザーの感情が二極化され極端に捉えられてしまうという課題が一部にはありました。この課題の改善に向けて、ユーザー調査を実施したところ、これまでの形式よりも「共感」や「学び」を表現するボタンが支持されました。さらに、これらの要素を取り入れることでコメント欄がより「多様な意見が受け入れられる場である」と評価されることもわかりました。こうした背景から2023年12月、「共感した・なるほど・うーん」で構成される3種類の「コメントリアクションボタン」へとリニューアルしました。
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3. 信頼される情報空間であるために
「Yahoo!ニュース エキスパート」始動
約2,600名のエキスパートが集い、ユーザーの多様なニーズに応える
2023年8月1日に、これまでの「Yahoo!ニュース 個人」(以下、ニュース個人)と「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム」(以下、クリエイターズ)がひとつになり、「Yahoo!ニュース エキスパート」として生まれ変わりました。この統合により、ニュース個人の書き手である「オーサー」「コメンテーター」、クリエイターズに参加する「クリエイター」の計約2,600名が集結。国内最大級の専門家プラットフォームとなりました。
ニュース解説から生活趣味情報まで、ユーザーの多様なニーズに応える才知と情熱をもったエキスパートたちの強みをかけあわせることで、発信力をさらに高めていきます。地元の情報を伝える「地域クリエイター」も着々と増えており、日本の人口の約7割を占める地域で活動しています。
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コメンテーターコメント
コメンテーターがユーザーの理解を促進
2023年4月より、トピックスに掲載された記事にコメンテーターコメントが投稿されている場合、Yahoo! JAPANトップページ等で、コメント数の横に「+解説」が表示されるようになりました(一部デバイスを除く)。また7月には、コメンテーターコメントの冒頭に、コメント内容を端的に表したラベルの表示を開始。ラベルは「解説」「提言」「補足」「見解」の4種類で、どの視点からのコメントなのかを把握した上で読むことで、ユーザーの理解が促進されることを期待しています。
シリーズ連載「信頼される情報空間のために」をスタート
メディアに携わる方々とともに考え、発信
Yahoo!ニュースは、多くのユーザーが多様な情報と出会う情報空間です。災害や政治など公共性が高い情報を的確にお伝えする役割を担っており、持続的なサービス運営のためには、ユーザーから信頼される場であることが重要だと考えています。そこで、情報空間における信頼とは何か、メディアとニュースプラットフォームそれぞれの課題と果たす役割、協働していくべきポイントは何か、などについてメディアに携わる方々とともに考え、発信するシリーズ「信頼される情報空間のために」の連載を2023年1月よりYahoo!ニュースのオウンドメディア「news HACK」にて開始しました。
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- シリーズ1回目 withnews前編集長・奥山晶二郎さん「Yahoo!ニュース運営における『信頼』とは ~メディアと協働できるポイント~」(2023年1月)
- シリーズ2回目 関西大学准教授・水谷瑛嗣郎さん「『アテンションエコノミー』の課題とYahoo!ニュースができること」(2023年3月)
- シリーズ3回目 東京大学教授・鳥海不二夫さん「『情報的健康』提唱者にYahoo!ニュースはどう映っているのか」(2023年8月)
- シリーズ4回目 株式会社PoliPoli代表・伊藤和真さん「個人の課題は社会の課題でもある――ニュースや政治を『自分ごと』にするために」(2023年9月)
- シリーズ5回目 慶應義塾大学名誉教授・大石裕さん「ニュースプラットフォームに求められる『ジャーナリズム』の視点とは」(2024年1月)
4. コンテンツパートナーの皆さまと歩む
「コラボタグ企画」をスタート
ユーザーの関心が高いテーマを素早く届ける
Yahoo!ニュースではパートナーとの連携企画を推進しています。パートナーの取材力とYahoo!ニュースによるネットの知見をかけあわせた「共同連携企画」と、戦争の記憶をデジタルで残し続ける「未来に残す 戦争の記憶」特集に加え、2023年4月から新たに「コラボタグ企画」をスタートしました。この企画はYahoo!ニュースが設定したテーマに対し、広くパートナーから企画を募る新しい連携のかたちです。2023年12月現在、「#令和の子」「#令和の親」「#ニュースその後」「#令和のカネ」の4つのテーマを募集し、12月時点で200を超える企画提案をいただいています。
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透明性向上
公正取引委員会による「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書」の公表を受けて
公正取引委員会は、Yahoo!ニュースを含むニュースプラットフォームとメディア各社との取引等について、実態を調査し、2023年9月に報告書を公表しました。
ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について(2023/9/21・公正取引委員会)
Yahoo!ニュースは、この報告書を踏まえつつ、より一層取り組みを充実・強化していく必要があると考え、今後の方向性について以下の通り示しました。
5. 社会の課題解決・ユーザーの行動につなげる
自殺報道への配慮
新方針に基づいたプッシュ通知
2023年7月の著名タレントの自殺報道時に、「Yahoo! JAPANアプリ」「Yahoo!ニュースアプリ」では、号外ニュースをプッシュ通知でお知らせしました。通知には特設ページを使用し、亡くなったという事実や、当事者や遺族の支援策・相談先の情報だけでなく、訃報への向き合い方などを掲載しました。
自殺報道は、扱い方次第で「死にたい」という思いを抱えている人の自殺を誘発する可能性が世界保健機関(WHO)などから指摘されています。Yahoo!ニュースでは、WHOの手引きなどを参考にしながら、トピックスの見出しで自殺という点を強調し過ぎないなどの取り組みを行っています。プッシュ通知についても、多様な有識者と議論を重ねた上で2022年に著名人の自殺報道に関する方針を公開しています。
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ホットイシュー「#今つらいあなたへ」
「自殺を踏みとどまるきっかけ」を最大化したい
2022年4月より「ホットイシュー」という取り組みを始めています。設定したイシューに対してさまざまな切り口のコンテンツを展開することで、社会のよりよいアップデートにつなげていく試みです。その一つである「#今つらいあなたへ」では、つらい経験を乗り越えて「いま」を生きている人へのインタビューや、「死にたい」という思い、つらい気持ちへの対処法など、専門家によるコンテンツを掲載しています。特設サイトでは、オンライン・電話で相談できる窓口や、心のSOSを発している方をサポートする団体への寄付の窓口なども紹介。実際に記事→特設サイト→相談窓口という流れで多くのアクセスをいただくなど、ユーザーの行動につながっている取り組みとなります。
タイパ動画
主要ニュースや注目の話題を1分の動画で
タイムパフォーマンス(時間対効果)を重視する時代に合わせて、効率的に主要ニュースを知ることができる動画コンテンツを展開しています。X(旧Twitter)で配信したトピックスのいいね数などをもとに、その日の話題を5本程度ピックアップし、1分以内の動画にまとめて紹介しています。Yahoo!ニュースではもちろん、LINE VOOMやYouTubeショート、Xといったプラットフォームでも配信。忙しいなかでも手軽にニュースを知り、日々のコミュニケーションの種となること、また世の中の話題にさらに興味を持つきっかけになることを目指しています。
国際宇宙ステーションからライブ配信
ISS滞在中の若田さんとユーザーをつなぐ
2022年10月に若田光一宇宙飛行士の5度目となる宇宙飛行について、特設ページを開設しました。有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げから国際宇宙ステーション(ISS)入室までの中継をはじめ、2023年2月にはISSに滞在する若田さんが出演する特別番組を制作し、ライブ配信しました。番組ゲストに田村亮さん(ロンドンブーツ1号2号)、進行に黒田有彩さん、解説者にJAXA職員の方を迎え、ISSとリアルタイム交信を行いました。若田さんが宇宙での実験クイズの実演をしたり、宇宙に関するみんなの疑問に答えたりするなど、ライブ配信を実施しました。「日本のメディアでは初めての宇宙とリアルタイム中継番組の実施」(※学校でのイベントなどは除く)となりました。
終わりに
Yahoo!ニュースは、今後も信頼される公共性の高い情報流通の場として、ユーザーそして情報提供元メディアの皆さまに信頼していただけるよう改善を続けていきます。