Inside2023.09.06

ユーザーの関心が高いテーマをYahoo!ニュースが分析――「コラボタグ」で素早く届ける

Yahoo!ニュースの取り組み「コラボタグ」とは、Yahoo!ニュースが注力テーマを設定し、そのテーマに対してコンテンツパートナーのみなさまから記事を配信いただく仕組みです。現在募集しているテーマ「#令和の親」「#令和の子」では、子育て・家族・学校などに関して5カ月(4月〜9月)で計59本の記事を配信(2023年9月4日時点)し、ユーザーから大きな反響がありました。取り組みの舞台裏を、プロジェクトマネージャーの片貝怜那、編集の中上芳子に聞きました。(取材・文/Yahoo!ニュース)

プロフィール

片貝怜那
コラボタグ プロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)。2018 年に新卒入社し、コンテンツパートナーとの渉外業務を担う
中上芳子
コラボタグ プロジェクトの編集者。通信社の記者から2016 年にヤフーに中途入社。Yahoo!ニュース トピックスの編集に7年間携わったのち現職

スピーディに出稿できる連携企画「コラボタグ 」の仕組み

「コラボタグ」では、Yahoo!ニュースが定期的にテーマを設定し、コンテンツパートナーから企画書の応募を受け付け、その中からテーマに沿った記事を配信いただきます。ユーザーの共感を呼びやすい見出し案や記事が読まれやすい時間帯などを参考情報としてフィードバックすることもあります。一つのテーマをハッシュタグでまとめて伝えることで、ユーザーの目に留まりやすく広く届く効果が望めます。また、コンテンツパートナーに発生する作業は、テーマに沿った企画案を応募いただくことだけなので、通常の記事出稿とほぼ変わらない制作工数で出稿できます。



「コラボタグ」記事の一例。テーマのハッシュタグ「#」(キーワードやトピックを分類するタグのこと)をつけて配信。ハッシュタグはクリックできるようになっており、そのテーマの記事一覧ページに遷移する


コンテンツパートナーと連携(コラボ)し、テーマごとにハッシュタグ(タグ)をつけて記事を配信いただくことから、「コラボタグ」という企画名になりました。「コラボタグ」の立ち上げから関わってきたPMの片貝はこう話します。

「Yahoo!ニュースがコンテンツパートナーのみなさまと共に記事配信をすることで、いま届けたいニュースを即時性をもってユーザーに届けることを目指しています。そしてコンテンツパートナーのみなさまには、『コラボタグ』をYahoo!ニュースに記事配信するきっかけの一つにしていただきたいです」

ユーザーが「新たな気づきを得る」場所を目指して

テーマの設定も工夫を重ねています。そもそもコラボタグの企画が立ち上がったのは、女性ユーザーが関心を持つ記事を届けようとしたのが始まりです。これまでのYahoo!ニュース トピックスを分析したところ、Yahoo!ニュースの女性メインユーザー層が興味関心を持っているテーマの一つが「子育て」でした。そこで、2023年1月末から約1カ月間、「#こどもをまもる」というハッシュタグでトライアルを始めました。

テーマの設定について、Yahoo!ニュース トピックスの編集に7年携わり、現在は「コラボタグ」の編集を担当している中上はこう話します。

「トライアルの結果、私たちがテーマを絞りすぎるよりも、ある程度の幅広さもあることが重要だと感じました。ユーザーにとって日々の生活に関わる身近さはもちろん、コンテンツパートナーのみなさまにとっても取材力を生かし配信しやすいテーマであることが必要です。その発見を受けてチームで何十個と案を出しました。そうして設定したテーマが『#令和の親』『#令和の子』です。

令和の時代に変化しつつある子育て・家族・学校などを巡り、コンテンツパートナーのみなさまの強みや特性に合わせた提案をしていただけそうだと考えました。親側の視点と、子どもに注目した視点とで、使い分けができるようにしています。『コラボタグ』が本格始動した4月末から媒体各社に募集を始めて、たくさんのユーザーに読んでいただいています」

「『#令和の親』『#令和の子』はそれぞれ幅広い切り口の記事が集まるので、ユーザーは同じテーマの問題をいろいろな角度から見ることができると思います。テーマ『#令和の親』『#令和の子』ごとに記事をまとめた(テーマを選んでフォローできる)ページもあるので、ユーザーが新たな気づきを得る場所として記事を読んでいただけるとよいなと思っています」(片貝)

一方で、子育て・家族・学校などのテーマを扱う上で気をつけていることがあります。

「対立構造を作ってしまっていないかという点です。例えば、子育てについて『私たちの頃はそうしなかったのに』というような、世代間で価値観やセオリーが違うことがありますよね。そして、いま子育てをしている世代はそのような上の世代を疎ましく思ってしまうこともある。

『コラボタグ』はそうした対立構造を作ってしまうのではなく、お互いどうやったら歩み寄ることができるのか分からずにいる様子を伝えています。また、それぞれの立場の悩みが伝わるように片側の声が強い時は『こういう側の声も出してみませんか?』とご相談もしています」(中上)

実際に配信された記事はどんな記事? 千葉日報、高校生新聞の例

「コラボタグ」に配信いただいた記事のなかから2本紹介します。1本目は千葉日報より配信された「男性の長期育休」に関する記事です。

「男性が育休を『取る・取らない』の議論じゃなくて『どう取るか』というように、視点が一歩、二歩、進んでいる印象を受けました」と編集の中上は話します。

「本記事では育休を取った男性の父親にも取材をしています。企画書をいただいて、『育休を長期間取ったら自分の親世代はどう思うだろうか』と考える子育て世代の男性は多いかもしれない、とハッとしました」

「コラボタグ」に参加した感想(千葉日報)
通常の連携企画(参照:news HACK 2020.12.17)と異なり、記事完成までの工程が少ないので、スピード感を持って記事を作成・配信することができた、というのが率直な感想です。

弊社は主に「#令和の親」「#令和の子」に参加しましたが、未だに珍しい長期育休を取った男性や、手ぶらで通える「荷物のいらない保育園」といった子育て世代を巡る現代的な事象を伝えることができました。

「男性ももっと長期育休を取ったほうがいい」「荷物なしで保育園に通えるなんて素晴らしい」などの声があり、子育てを巡る課題について多くの人に考えてもらうことができて良かったと思います。

2本目は高校生新聞より配信された「夫婦別姓」に関する記事です。


※掲載は終了しております

「『令和感』が強い記事で、夫婦別姓について実際に経験した家庭の子どもの立場から書かれていて、高校生新聞という媒体ならではだと思います。また、コメントも約2700件投稿され、反響がありました」(片貝)

「コラボタグ」に参加した感想(高校生新聞)
事実婚を選んだ別姓の夫婦のもとで育った姉妹、両親の離婚によって離れて暮らす姉妹、コロナ禍を機に家族の夕食を作り始めた男子高校生、といった10代に取材した記事を配信しました。自社サイトは高校生の等身大の姿を同世代に届けられるのが強みですが、中には世代をこえて伝えたいニュースもあります。

今回、幅広い年代の方に10代のリアルな思いを知ってもらおうと、コラボタグ企画に参加しました。とりわけ子育て当事者の読者には、10代の率直な思いを受け止めて、自身の境遇も重ねながら家族の在り方を考えてもらえたと思います。

話題や問題を深掘りした記事を広く届ける「コラボタグ」のこれから

最後に、今後の展望を聞きました。

「これからもたくさんのコンテンツパートナーのみなさまと『コラボタグ』で提携したいです。そしてコンテンツパートナーのみなさまと一緒に、いま伝えたいニュースをより多くのユーザーに届けていきたいと思います。そして社内のサービスとの連携をさらに強化して、配信の仕方も工夫していきたいです」(片貝)

「話題や問題を深掘りした記事は、制作の手間と読まれ方が必ずしも見合わない場合があります。だからこそ、コンテンツパートナーのみなさまに、『コラボタグ』を通して広く届ける選択肢があると認識されるのが理想です。温めていた企画やYahoo!ニュースに配信していなかった記事が提示されたテーマに沿うようであれば、気軽に『コラボタグ』に参加いただきたいです。

Yahoo!ニュースにとっても、主体的に記事配信を拡大できます。そして私たちの持つ、より多くのユーザーに読まれるためのナレッジで役に立てそうなことはお伝えしていきたいです。何より、いままで『読みたい記事があまりないかも』と感じていたユーザーに『この記事面白そう』みたいな発見をもっと増やしたい。それらを実現できるテーマ設定を模索していきます」(中上)

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