瀬戸際から4年連続で生還! Bリーグ横浜ビー・コルセアーズが見せたスゴい残留力
19-20シーズン中止で降格クラブなし
Bリーグは3月27日に臨時理事会を開き、2019-20シーズンの打ち切りを決定した。5月に予定されていたB1残留プレーオフ、B1・B2入れ替え戦も中止となり、B1の全18クラブは残留が認められる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた措置だ。
2020-21シーズンはB1が20クラブ、B2が16クラブという編成で開催される。B2からの昇格は2クラブで、4月24日の理事会後に発表されるB1ライセンスの状況によって対象が確定する。
3年連続でB1入れ替え戦を経験
横浜ビー・コルセアーズは昨季まで3季連続でB1残留プレーオフ、B1・B2入れ替え戦を経験している。それでも残留する“しぶとさ”はもちろんだが、経緯が毎回ユニークだ。
今季も横浜は11勝30敗と苦しんでおり、2月1日にトーマス・ウィスマンヘッドコーチの契約を解除したばかりだった。順位は18チーム中16位で、B1残留プレーオフ圏内。しかし新型コロナウイルスの感染拡大によるリーグ中止で、降格自体がなくなった。
初年度は逆転ブザービーターで危機を脱出
過去の3シーズンも振り返ってみよう。例年だとB1とB2の入れ替えは2チーム、もしくは3チームだ。
B1初年度(2016-17シーズン)は、16勝44敗と18チーム中17位でレギュラーシーズンを終えた。負ければ降格の残留プレーオフ1回戦を争った相手は、秋田ノーザンハピネッツ。5月13日の第1戦は横浜、14日の第2戦は秋田が勝利し、決着は第2戦後に行われる10分間のショートゲーム(第3戦)に持ち越された。
横浜は14-16とリードを許し、さらに残り8秒で秋田にシュートを放たれた。しかし相手が落としたシュートのリバウンドを確保し、川村卓也がボールを運ぶ。川村は強引に3ポイントシュートを放ち、これが逆転ブザービーターとなった。彼らはアウェイで「首の皮一枚」の状況から生還を果たした。
横浜は続く2回戦こそ富山グラウジーズに敗れたが、B1・B2入れ替え戦で広島ドラゴンフライズを下し、最後の1枠を確保した。
17-18シーズンは「地の利」も味方
横浜は続く2017-18シーズンも18勝42敗と低迷し、全体16位でレギュラーシーズンを終えた。第3戦のショートゲームにもつれ込む展開ながら、西宮ストークスとの1回戦を突破。一発勝負の2回戦は中立地の東京都大田区・片柳アリーナで開催された。神奈川県と隣接する会場という「地の利」を得た横浜は、富山を79-76と退けて残留を決めている。前後の2シーズンに比べると平穏な残留だった。
昨季はライセンス制度に救われる
2018-19シーズンの横浜も、14勝46敗の16位と苦しんだ。しかしまずライジングゼファー福岡が、経営問題によりB1ライセンスを取得できず争いから脱落。特例により横浜が17位のレバンガ北海道と2戦先勝のシリーズを行い、勝ったチームは残留する仕組みでプレーオフが行われた。
横浜は1勝1敗で迎えた10分間のショートゲームを、5点差から逆転される展開で落とした。例年ならば自動降格がそこで決したはずだった。ただしB2の上位に財務面の問題でB1ライセンスの要件を満たさないクラブが入っていた。
運命はまた彼らに味方する。B2プレーオフは信州ブレイブウォリアーズの優勝、群馬クレインサンダーズの準優勝で決した。二強は2019-20シーズンのB1ライセンスを交付されていないクラブだった。3位以上という成績要件も含めて、昇格の条件を満たしたのは島根スサノオマジックのみ。横浜はB1残留となった。
今大切なのはコート外の戦い
横浜が決して魅力のないチームということではない。チームが苦しんでいるときでも、ブースターが「いい雰囲気」を作るカルチャーは皆さんにもオススメだ。今季は陣容が若返って未来を感じさせるロースターとなり、停滞感のようなものはない。田渡凌選手の恋愛リアリティショー『テラスハウス』出演も、明るい話題だった。
戦い切らずに果たした残留は選手、ファンにとってはあまり喜べない結末かもしれない。しかし新型コロナ問題によるシーズン中止を選手、ファンが後ろめたく思う必要はない。一方でコート外にも生き残るための大切な戦いがある。まずはこの難局でチームに関わる人が自らの健康を保ち、クラブもB1に相応しい体制を残すことが大切だ。
「落ちない力」を武器にしてお守りを販売し、予備校を新スポンサーに迎えるーー。それくらいの逞しさとしぶとさで、クラブは来季への準備を進めて欲しい。