なんば-関西空港間を結ぶ南海特急「ラピート」 1560円で乗れる「スーパーシート」はコスパ最強だった
奇抜な車体デザインが特徴の南海特急「ラピート」
1994年9月4日の関西空港開港と同時に運行を開始した南海特急「ラピート」は、その独特の車体デザインから「鉄仮面」や「鉄人28号」とも呼ばれる関西を代表する私鉄特急だ。列車名称の「ラピート」は、一般公募により選ばれたドイツ語の”rapid”が由来で「速い」を意味している。車体のデザインコンセプトは「レトロフューチャー」とされ、その結果、力強さと速さを融合させた先頭形状と人間味のある曲線をデザインしたところ、それまでの鉄道車両では見られなかったような奇抜なデザインとなったようだ。
「ラピート」は、JRの普通車に相当する「レギュラーシート」とグリーン車に相当する「スーパーシート」の2クラス制が採用されており、速達タイプの「ラピートα」では、なんば-関西空港間を35~39分で、途中停車駅が「サザン」と同一となる「ラピートβ」では37~42分で結んでいる。南海特急ラピートの運賃・特急料金は、「レギュラーシート」では運賃970円と料金520円の合計額1,490円、「スーパーシート」であれば運賃970円と料金730円の合計額1,700円となるが、「関空トク割ラピートきっぷ」を購入すれば、「レギュラーシート」が1,350円、「スーパーシート」が1,560円で利用できる。なお、なんば-関西空港間の営業距離は42.8kmとなる。
JRでは特急はるか号を運行
関西空港へのアクセスについては、JR西日本も特急はるか号を運行しているが、目的地をなんばや新今宮とするならば南海特急「ラピート」はコスパ最強の空港アクセス列車と言える。例えば、特急はるか号で関西空港駅から大阪駅に向かう場合、乗車時間約45分に対して、通常期の普通車自由席では2,410円、普通車指定席では2,940円、グリーン車では3,710円となる。なお、関西空港―大阪間の運賃相当額は1,210円となる。ちなみに、南海特急「ラピート」でなんばまで行き、そこから地下鉄御堂筋線で大阪駅に直結した梅田駅まで240円で行けることを考えると、JRの特急はるか号は割高である。
なお、JR西日本の「特急はるか号」、南海特急「ラピート」の双方にはチケットレスサービスも設定されており、インターネットから事前予約するこのチケットレスサービスを利用すれば、ここで示した正規の運賃・料金よりは安く乗車できるようだ。
筆者は、先日、この南海特急「ラピート」になんば-関西空港間で「スーパーシート」に乗車した。乗車したのは、なんば駅を14時5分に発車する「ラピートβ45号」で関西空港までの所要時間は39分。きっぷは、なんば駅の自動券売機で「関空トク割ラピートきっぷ」を指定し、関西空港までの「スーパーシート」を1,590円で難なく購入することができた。
出発の15分前から乗車できた南海特急「ラピート」
筆者が乗車する「ラピートβ」の発車時刻まではまだ若干の時間があったが、発車の15分前となる13時50分にホームへと向かったところ、すでに「ラピートβ」が停車しており、乗車することもできた。JRの特急列車では始発駅であっても発車時刻の直前まで列車に乗車できないことが多いが、南海特急では発車の15分前から列車に乗り込むことができ車内でゆったり過ごせることはありがたい。発車前から車内でゆったりとした時間を過ごすことができ、かつJRの特急はるか号のグリーン車の半額以下の価格で利用ができる「ラピート」の「スーパーシート」はやはりコスパがいい。
14時5分の定刻になり、列車はなんば駅を発車すると車窓からは「あべのハルカス」が見えた。そして、大阪府南部の住宅密集地帯を快走し、30分ほどで関西空港連絡橋手前のりんくうタウン駅に到着。りんくうタウン駅からはJR線と線路を共用する全長約3.7kmの関西空港連絡橋を渡り、定刻の14時42分、無事に海上に浮かぶ関西空港駅へと到着した。
(了)