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【英会話】I lost to my younger sisterって言ったら、変な顔された。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほどNative English Speakerたちのマネージメントをしています。もちろん彼らと話すときは英語なんですが、20年経っても慣れないことを言おうとすると一瞬詰まったり、日本語を直訳したりしてしまうことが、まだまだあります。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は、読むと自然な英語を得られるお得なエッセイです。

妹に負けたよ

 この間のことですが、友人のRichと話していて算数の九九の話になりました。
 きっかけは、ランニングをしているという話の流れで、どれぐらいのスピードで走ってるの? って訊かれたことでして。
 スピードかぁ、と思ってちょっと考える。だいたい1キロを5分ぐらいで走るようにしてるんで、0.2キロ×60分=時速12キロだねって暗算していうと、Rich、ちょっと驚き顔。私のランニングのスピードのことではありません。暗算のスピードの方でびっくりです。
 速いなぁってRichが言うんで九九の話になった。Englandにももちろん九九はあるそうで、times tableっていうらしいんですが、日本の九九のように短時間で答えが出て来るものじゃないらしいんです。
Two times six equals twelve.
ってそのままの形で憶えるのだとか。日本の九九なら
ニ・ロク・ジュウニ
ですから音の数が違う。へえ、便利なもんだなぁとRichは言ってくれたんですが、それで、ちょっと昔のことを思い出した。

 以前も書きましたが(2024/2/3)、私、子どもの頃だいぶニブい子だったんです。いや、今でもそうかもしれませんが、輪をかけてニブかった。なので、九九なんて二歳下の妹よりもおぼえるのが遅かったんですね。それをRichに

I couldn’t remember my times tables. I lost to my younger sister. (九九が覚えられなくて、妹に負けたよ)。

って言ったんですが、ちょっと変な顔。おいおい、そんなに哀れむなよと思ったんですが、そうじゃない。
 私の英語がちょっと伝わらないんですねぇ。みなさん、どこがおかしいかおわかりでしょうか?

 問題は、I lost to my younger sister. にあります。lost to ~ という~に負ける というのがぴんと来ないんですね。Richいわく、勉強は勝ち負けじゃないでしょ とのこと。
 じゃあ、どう言えばいいの? とRichにきくと、英語は具体的にと一言。
 そうかここでも、状況を細かく表現する必要があるのかと改心して、

My younger sister was able to do it before I was. (妹はおれができる前に出来たよ)

というと、Richはサムアップ。よくわかる英語だと太鼓判をもらいました。

 日本語をそのまま英語にしてしまっても伝わることもありますが、こんなふうに伝わらないことも結構あります。でも、こういう伝わらないときこそ、日本語でなんとなく使っている言葉や言い回しの内容を深く考えるきっかけになります。勉強は勝ち負けじゃないかぁ、Richのやつ、さらっといいこと言いますね。

 このあたりは、英語と日本語を行き来する面白さです。自然な英語を知って、物事を深く考えるきっかけ、一挙両得ですね。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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