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【英会話】I tried to use って言ったら、首を振られた なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほど仕事で英語を話していますが、ちょっと気を抜いて言い慣れた英語を使って、失敗することがあります。丁寧にイメージから英語を作ってないんですねぇ。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと自然な英語を得られるお得なエッセイです。

空港のラウンジを使ってみたんだ。

 私は親族の同世代のなかで最も年上です。いわゆる長男の長男というやつで、従妹が全員年下。全員が社会人になっていて、結婚式ブームは十年ぐらい前に終わっている。このさき結婚式に呼ばれることは、姪っ子甥っ子が結婚し始める5、6年後かな? と思っていたんですが、最近、結婚式にお呼ばれすることが増えてきました。
 それってどの筋? と疑問を持たれると思いますが、これが親戚筋じゃなくて教え子筋でして、高校受験や大学受験、英会話レッスンなどで縁があった連中が、わたしなんかを呼んでくれる。いやいや、おれ、ただ英語・英会話伝えただけだよ、というんですが、是非にと言われる。本当にありがたいことで、講師冥利に尽きます。

 そういうわけで、分不相応ながら、教え子の結婚式に出席させていただくわけですが、連中、全国に散らばっていまして、那覇だの札幌だの神戸だのに行くことになる。もちろん、飛行機です。わたし飛行機が好きなんです。

 で、いそいそと空港に向かうわけですが、飛行機ってフライト前の時間がけっこうあって、ちょっともったいない。ギリまで落ち着いて仕事出来ればいいのにと思っていたら、空港にはラウンジってものがあるのに気がついた。無理に飲み物を頼まなくていいし、ちゃんとしたデスクもあるし、WIFIも万全。身分不相応の贅沢かなと思いましたが、使ってみるとかなり快適で便利でした。

 そんな話を結婚式から帰って来た次の日のミーティングでNative English Speakerの友人のRichに話した。

I tried to use an airport lounge. It's pleasant to work in.

 っていったんですが、Richの野郎さらっと首を振りやがる。徳さんには身分不相応だよって、続けて言われなかったんで、問題は私の英語です。

 みなさん、どこがおかしいか気づかれるでしょうか?

 問題は、try to do にあります。直訳としては、~しようと試してみる ~しようとする ですから、出来たか出来なかったかは措(お)いといてとにかくやってみた ってことだけを伝えるときに使います。つまり、tried to use って、使おうとした なんです。 
 でも、その続きで、わたしはIt's pleasant to work in. そこは快適に仕事できるね って言ってるからチグハグになっている。ここは 使おうとした じゃなくて、使ってみた にしないといけない。
 そして、もう一つの問題は、try to do に、挑戦する というイメージがあること。例えば、なかなか連絡がつかない人に連絡をとろうとしているんだ という場合なんかが適当で、
I've been trying to get in touch with him. (彼に連絡とろうとずっとしてるんだ)
という表現をする。

 私もそのことは知っていたんですが、移動の疲れか言い慣れた英語を使ってしまいました。反省です。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 おっと、本当はどういうべきだったかを書いていませんでした。普通にできることをやってみたという場合には、
I tried an airport lounge.
とあらわします。ご参考に。

 え? だれですか、わたしじゃ空港のラウンジを使えるかどうか判らないんだから、I tried to use an airport lounge. でいいんじゃないかって言ってるのは。いやいや、大丈夫。ちゃんと受付を通してもらえたので、I tried an airport lounge. です、たぶん。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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