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本日、東京さくら満開 満開=卒業のイメージはいつから?

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
満開のさくらのもと、卒業(写真:アフロ)

 きょう22日(日)午後、東京都心でさくらが満開となりました。統計がある1953年以降、2番目に早い記録です。

満開のさくら 何を連想?

 平成の間に発売され、ヒットした数々の「さくら」主題の曲。特に、森山直太朗さんの「さくら」は、すっかり“卒業ソング”として定着しています。

 一方、昭和後期における卒業はどんなイメージだったのでしょう。実は、“卒業”がテーマの曲に、満開のさくらは、ほぼ間違いなく登場しないのです。

さくら満開日(東京) 昭和から平成の変化に注目 東京管区気象台データより著者作成
さくら満開日(東京) 昭和から平成の変化に注目 東京管区気象台データより著者作成

 1970年代半ばまで、東京で3月中に満開となった年はありません。1984年は大寒冬、3月も低温が続いた影響で、東京の満開は遅れに遅れて4月17日でした。

 奇しくも、その翌年(1985年2月)に発売されたのが、昭和の代表的な卒業ソング、斉藤由貴さんの「卒業」、そして菊池桃子さんの「卒業-GRADUATION-」でした。両曲とも満開どころか、さくらのフレーズすら見当たりません。卒業=満開のさくらなど、ありえない時期だったのです。

平成で早まったもの

 さくら満開の大きな変化は、平成初期(1990年頃)です。顕著な暖冬により、満開が3月26日と、一気に早まる年が現れました。その後も、3月中の満開が多くなったことで、平成の卒業ソングはさくらが定番になったと思われます。

 いま一度、森山直太朗さんの名曲「さくら」について。この曲が発売されたのは、2003年3月5日です。前年(2002年)の東京は、統計史上最も早い満開(3月21日)を観測するなど、満開=別れの図式が、より濃厚になった時期と考えられるのです。

 令和の今、3月中に満開を迎えるのは、もうごく普通のこととなりました。そして今年、東京が全国一番乗りで満開に。これでまた、満開=卒業の図式がいっそう強まりました。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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