Yahoo!ニュース

ラグビー日本代表選手、都道府県別出身数はやはり大阪がトップ、2位は福岡!出身大学別は京産大が健闘

斉藤健仁スポーツライター
7月24日、アメリカ代表戦に臨む日本代表(撮影:斉藤健仁)

8月7日、ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は第4次候補選手39名を発表した。W杯に向けた最終スコッド31名は31日に発表されるが、ケガ人などが出た影響で「カットしなかった」(ジョーンズHC)。いずれにせよ、同じポジションで2人ケガ人が出ない限り、下記の39名から31名が選出されることは間違いない。

◇出身都道府県別は、やはり「西高東低」に

そこで39名の出身都道府県別に数字を比べてみた(出身高校を基準として算出)。高校ラグビーでは「西高東低」という言葉が使われて久しい(1998年度以来、大阪府、京都府、福岡県と「西」の高校が優勝 ※2010年度のみ東福岡と桐蔭学園の同時優勝)が、現在の日本代表選手の出身都道府県別の数も、ほぼ、それを反映した数字となっている(10名はニュージーランドとオーストラリアの高校出身)。

◇ラグビー日本代表選手 出身都道府県、上位ベスト3

1位 大阪府 5名

2位 福岡県 4名

3位 京都府 2名

3位 兵庫県 2名

3位 埼玉県 2名

3位 宮城県 2名

地域的に見ても、近畿は奈良県出身のSO立川を入れれば計10名、九州は他にも熊本県出身のPR平島、佐賀県出身のFB五郎丸を入れれば計6名となり、愛媛県出身のLO宇佐美を入れれば、海外出身者を抜いた29名中17名と大半が「西」出身であることがわかる。

関東を見てみると、高校の部活数2位の東京都出身(前回のW杯は國學院久我山出身のHO青木佑輔がいたが)はなんと0名で、埼玉県出身の2人(NO8ホラニ、LO村田)以外はHO湯原(千葉県出身)、CTB田村(栃木県出身)、CTB松島(神奈川県出身)と計5名だった。

また残念ながら中高の部活数3位の愛知県から誰も選手は選出されなかった(第2次候補まで春日丘出身のPR長江有祐が選出。またCTB田村は中学まで愛知県で育ったがラグビーは國學院栃木で始めている)。

北信越地方出身の選手は新潟県のPR稲垣1名で、東海地方出身選手は0名(前回のW杯時はCTB今村雄太やWTB小野澤宏時が選出)。今のところ東海3県のトップリーグチーム所属の選手からも0名となりそうだ(トヨタ自動車の選手が選出されていない影響が大きい)。

一方で東北は宮城県(PR畠山、LO真壁)の2名に青森県出身のPR三上、福島県出身のLO大野を入れると計4名と健闘しており、しかも全員がFWとやはり地域性を感じる。北海道はFLリーチ主将の1名となった。

※ラグビースクールは全国で394校あり、大阪府が33で全国1位、福岡県24で全国2位。

中学の部活数は全国で302校で、大阪府が65でトップ、2位は東京都の40、3位は愛知県の29。

高校の部活の数は1075校で大阪府が109でトップ、東京都の83が2位、3位は愛知県で64、福岡県は46で7位だ。

(2013年12月時点の数、提供:日本ラグビー協会)

◇出身大学別では「東高西低」だが京産大が2位と健闘

それでは出身大学別(現在、所属選手も含める)に見るとどうなるだろうか。

1位 早稲田大 4名

2位 京都産業大 3名

2位 慶應義塾大 3名

2位 東海大 3名

5位 筑波大 2名

5位 帝京大 2名

※福岡大、関東学院大、流通経済大、日大、中央大、立命館大、埼玉工大、法政大、天理大、明治大はそれぞれ1名

出身都道府県別とは違い、出身大学別は「東高西低」である。早稲田大、慶應義塾大、東海大と関東の強豪大学出身者が多い中で、やはりPR山下、LO伊藤、SH田中の出身大である京都産業大の健闘が光る。

FW、特にスクラムの指導に定評のある京都産業大の大西健総監督は、この話を振ると「もっと大学時代から活躍してもいいのですが(苦笑)」と言いつつも、笑顔を見せていた。

※京都産業大出身の選手としてはエディー・ジャパン初年度にはFL橋本大輝(神戸製鋼)、また第2次候補選手まではPR長江(豊田自動織機)が選出されていた。

◇所属チーム別はサントリーがトップ!

日本代表選手39名の所属チーム別の数字も数えてみた。サントリーが7名とトップで、やはり2013年度シーズンまでのトップリーグの、いわゆる「トップ4」だったサントリー、パナソニック、神戸製鋼、東芝から計24名と大半が選出されていることがわかる。

1位 サントリー 7名

2位 パナソニック 6名

2位 神戸製鋼 6名

4位 東芝 5名 

5位 キヤノン 3名

6位 ヤマハ発動機 2名

6位 NEC 2名

※近鉄、リコー、NTTコミュニケーションズ、クボタ、宗像サニックス、早大、筑波大からそれぞれ1名(所属なしも1名)選出

8月15日以降、国内で3試合を行い、39名を31名に絞るが、すでに「(31名中)25名は決まっている」(ジョーンズHC)という。残り5~6枠を巡るサバイバルは、まだまだ続く。

◆ラグビー日本代表今後の予定

8月15日(土)日本代表対世界選抜(東京・秩父宮)

8月22日(土)日本代表対ウルグアイ代表(福岡・レベスタ)

8月29日(土)日本代表対ウルグアイ代表(東京・秩父宮)

※上記3試合は「リポビタンDチャレンジマッチ2015」として行われる

9月5日(土)日本代表対ジョージア(グルジア)代表(イングランド・グロスター)

◆ラグビー日本代表 第4次候補選手

FW22名

(ポジション、名前、年齢、所属、キャップ数、出身)

PR1三上正貴(27歳、東芝、26)※青森工、東海大出身

PR1平島久照(32歳、神戸製鋼、42)※熊本西、福岡大出身

PR1稲垣啓太(25歳、パナソニック、6)※新潟工、関東学院大出身

HO堀江翔太(28歳、パナソニック、35)※島本高、帝京大出身

HO木津武士(27歳、神戸製鋼、33)※東海大仰星、東海大出身

HO湯原祐希(31歳、東芝、21)※流経大柏、流経大出身

PR3畠山健介(30歳、サントリー、66)※仙台育英、早大出身

PR3山下裕史(29歳、神戸製鋼、42)※豊島工、京産大出身

PR3垣永真之介(23歳、サントリー、3)※東福岡、早大出身

LO大野均(37歳、東芝、91)※清陵情報高、日大(理工)出身

LO伊藤鐘史(34歳、神戸製鋼、34)※兵庫工、京産大出身

LOトンプソン ルーク(34歳、近鉄、56)※セントビーズ高、リンカーン大(NZ出身)

LO真壁伸弥(27歳、サントリー、29)※仙台工、中央大出身

LO宇佐美和彦(23歳、キヤノン、4)※西条高、立命館大出身

FLリーチ マイケル(26歳、東芝、40)※セントピーズ高(NZ)→札幌山の手、東海大出身

FLツイ ヘンドリック(27歳、サントリー、27)※デラセラカレッジ(NZ)、帝京大出身

FLアイブス ジャスティン(31歳、キャノン、30)※タイエリ高(NZ)出身

FLマイケル・ブロードハースト(28歳、リコー、20)※キャンピオン高(NZ)出身

FL村田毅(26、NEC、4)※慶応志木高、慶応大出身(中学は神奈川県出身)

NO8ホラニ龍コリニアシ(33、パナソニック、41)※埼玉工大深谷、埼玉工大出身(トンガ出身)

NO8アマナキ・レレイ・マフィ(25歳、NTTコミュニケーションズ、2)※トンガカレッジ(トンガ)、花園大出身

NO8ヘイデン・ホップグッド(35歳、-、9)シャーリーボーイズ高(ZN)出身

BK17名

SH田中史朗(29歳、パナソニック、46)※伏見工、京産大出身

SH日和佐篤(28歳、サントリー、44)※報徳学園、法政大出身

SH内田啓介(23歳、パナソニック、11)※伏見工、筑波大出身(中学は滋賀県出身)

SO小野晃征(28歳、サントリー、27)※クライストチャーチボーイズ高(NZ)出身

SO立川理道(25歳、クボタ、36)※天理高、天理大出身

SO廣瀬俊朗(33歳、東芝、27)※北野高、慶応大出身

CTB田村優(26歳、NEC、32)※國學院栃木、明治大出身(中学は愛知県出身)

CTBクレイグ・ウィング(35歳、神戸製鋼、8)シドニーボーイズ高、NSW大(豪州出身)

CTB山中亮平(27歳、神戸製鋼、4)※東海大仰星、早大出身

CTBマレ・サウ(27歳、ヤマハ発動機、20)※タンガロア高(NZ)出身

CTBティム・ベネット(25歳、キヤノン、2)※ペナントヒルズ高(豪州)出身

CTB松島幸太朗(21歳、サントリー、10)※ワセダクラブ(文京区文林中)/グレアムカレッジ(南ア)→桐蔭学園

WTB カーン・ヘスケス(30歳、サニックス、8)※ネイピアボーイズ高、オタゴ大(NZ出身)

WTB山田章仁(30歳、パナソニック、13)※小倉高、慶応大出身

WTB福岡堅樹(22歳、筑波大4年、15)※福岡高出身

WTB藤田慶和(21歳、早稲田大4年、26)※東福岡出身(中学は京都府出身)

FB五郎丸歩(29歳、ヤマハ発動機、50)※佐賀工、早大出身(中学は福岡県出身)

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

斉藤健仁の最近の記事