サイ・ヤング賞2度の投手を引き留められなかった球団の「プランB」はサイ・ヤング賞3度の投手なのか
今オフ、ジェイコブ・デグロームは、ニューヨーク・メッツをと交わしていた5年1億3750万ドル(2019~23年)の契約をオプト・アウトし――途中で打ち切り――FAとなって、テキサス・レンジャーズから5年1億8500万ドルの契約を得た。メッツも再契約に向けて動いていたが、実現はしなかった。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンは、メッツが提示したのは3年1億2000万ドル程度、と報じている。そのとおりだとすると、年平均額はレンジャーズを凌いでいた。
メッツからFAになった先発投手は、デグロームだけではない。1ヵ月前に「この球団は防御率3.50未満の先発投手3人がFAに。1人はオプト・アウト、2人はオプション破棄」で書いたとおり、タイワン・ウォーカーとクリス・バシットも、FA市場に出た。
一方、マックス・シャーザーは、来シーズンもメッツにいる。3年1億3000万ドル(2022~24年)の契約をオプト・アウトできるのは、来オフだ。また、メッツは、年俸1400万ドルの球団オプションを行使し、カルロス・カラスコを引き留めた。
だが、ローテーションの残り3枠が、デビッド・ピーターソンとタイラー・メギルに、先月、マイアミ・マーリンズから獲得したエリーサー・ヘルナンデスでは心許ない。3人とも、今シーズンは、先発としてもリリーフとしても投げた。ピーターソンの防御率は4.00未満だが、あとの2人は5.00以上だ。
SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノは「FA市場の動きは速くなっている。メッツのターゲットの中核はバーランダー」とツイートしている。
デグロームとジャスティン・バーランダーは、どちらもサイ・ヤング賞投手だ。今シーズン、バーランダーが3度目のサイ・ヤング賞に選出されるまで、2人の受賞回数は並んでいた。バーランダーであれば、デグロームの「プランB」になり得る。
ただ、来シーズンの年齢(6月30日時点)は、デグロームが35歳、バーランダーは40歳だ。数日後に30歳になるカルロス・ロドーンのほうが、年齢に伴うリスクは低い。サイ・ヤング賞投手ではないものの、昨シーズンと今シーズンの投票で、ロドーンはア・リーグ5位とナ・リーグ6位に位置している。
オーナーのスティーブ・コーエンの財力をもってすれば、どちらの投手にも、その希望を満たす契約を申し出ることはできるはずだ。ローテーションの空きを考えると、2人とも手に入れようとしてもおかしくない。けれども、バーランダーもロドーンも、欲している球団は多い。デグロームがFA市場から姿を消し、この2投手に対する需要は、さらに高まっている。
なお、バーランダーとロドーンについては、それぞれ、こちらで書いた。