この球団は防御率3.50未満の先発投手3人がFAに。1人はオプト・アウト、2人はオプション破棄
ニューヨーク・メッツから、3人の先発投手がFAになる。
ジェイコブ・デグロームは、オプト・アウトする。5年1億3750万ドル(2019~23年)の契約を打ち切る。残っていたのは、来シーズンの年俸3050万ドルだ。
タイワン・ウォーカーは、2年2000万ドル(2021~22年)の契約についていた来シーズンの選手オプション、年俸750万ドルを破棄し、解約金の300万ドルを受け取る。
クリス・バシットが破棄するのは、来シーズンの相互オプション、年俸1900万ドル(解約金15万ドル)だ。このオプションは、今年5月に年俸調停を回避して交わした――ロック・アウトにより、年俸調停の時期がずれ込んだ――1年880万ドルの契約についていた。
今シーズンは、デグロームが64.1イニングで防御率3.08、ウォーカーが157.1イニングで防御率3.49、バシットは181.2イニングで防御率3.42を記録した。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、35歳、30歳、34歳だ。
3人とも、ローテーションの一角を担うことができる投手だ。デグロームは、2018~19年に2年続けてサイ・ヤング賞を受賞し、短縮シーズンの2020年も投票3位にランクインした。ここ2シーズンはいずれも95イニング未満――その前の2020年は規定投球回以上の68.0イニングを投げた――ながら、投球内容は2018~20年と遜色ない。シーズンを通して健康を保てれば、3度目のサイ・ヤング賞もあり得る。
ウォーカーは、3人のなかで最も若く、今シーズンの成績もフロックではない。例えば、2017年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスで記録したイニングと防御率は、今シーズンとまったく同じだった。バシットは、オークランド・アスレティックスで投げた昨シーズンも、157.1イニングで防御率3.15を記録している。
メッツからFAとなる先発投手は、さらに増えるかもしれない。カルロス・カラスコは、4年4700万ドル(2019~22年)の契約が満了したところだが、そこには来シーズンの球団オプション、年俸1400万ドル(解約金300万ドル)がついている。今シーズンは、152.0イニングで防御率3.97。来シーズンの年齢は36歳だ。メッツがオプションを行使するかどうかは、まだわからない。
カラスコがオプションを破棄され、FAとなった場合、メッツに残っている、実績のある先発投手は、マックス・シャーザーだけということになる。
ただ、来シーズンのローテーションについて心配するのは、まだ早い。オーナーのスティーブ・コーエンは、裕福であるだけでなく、これまで、出し惜しみすることなく、補強に金を費やしてきた。昨オフにシャーザーを迎え入れた際の契約、3年1億3000万ドル(2022~24年)は、その好例だろう(「37歳の投手が3年1億3000万ドルの契約を得る。「年4000万ドル以上」は史上初」)。顔ぶれは変わるかもしれないが、FAとの契約やトレードにより――もちろん、FAになった投手との再契約も考えられる――今シーズンと同等、あるいはそれよりも上の先発投手を、ローテーションに揃えようとするはずだ。
また、誰が先発マウンドに上がっても、締めくくりは万全だ。メッツは、クローザーのエドウィン・ディアズがFAになるかならないかのうちに、リリーフ投手では史上最高の総額となる契約を交わした。それについては、こちらで書いた。