F35戦闘機の国内組み立て工場の一部生産ラインが3月9日から13日まで停止へ 新型ウイルスの影響
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、三菱重工業の小牧南工場にある最新鋭戦闘機「F35」機体の最終組み立て・検査工場(FACO)の一部生産ラインが3月9日から13日まで稼働停止する。三菱重工業広報グループが6日、筆者の取材に対して明らかにした。
三菱重工業広報グループは「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、全体の納期に影響を与えない範囲で、9日から13日までFACOの生産ラインの一部を止めることにしている。FACO全体の稼働が停止するとの報道が出ているが、それは正しくない」と説明した。
また、筆者が東京特派員を務める英軍事週刊誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーの取材によると、アメリカ国防総省のF35統合プログラムオフィス(JPO)を率いるプログラム・エグゼクティブ・オフィサー(PEO)のエリック・フィック空軍中将は3月4日、小牧南工場のFACOでは一週間の休止後に再稼働するとの見通しを述べた。さらに、サプライチェーンを乱すものは存在せず、JPOとして他に何らの措置を講じないと述べた。
●小牧南工場のFACOでは38機のF35Aが最終組み立て
日本政府は2011年12月に航空自衛隊の次期主力戦闘機としてアメリカ製のステルス戦闘機F35Aを採用し、42機を配備することを決めた。
これを受け、F35戦闘機を製造するロッキード・マーチンと三菱重工業は、アメリカ国防総省の容認の下、愛知県豊山町にある三菱重工業小牧南工場内にFACOを設置した。
アメリカ政府の有償軍事援助(FMS)で完成機をアメリカから直接調達する4機を除く、38機のF35Aが小牧南工場のFACOで組み立てられている。海外で製造されたF35Aの胴体部や主翼などのパーツを集約し、航空自衛隊向けのF35Aの最終組み立てと検査が行われている。
安倍政権は2018年末、最終的にF35Aを105機、短距離離陸・垂直着陸型のF35Bを42機の合計147機を取得することを決めた。
航空自衛隊三沢基地(青森県)に配備されたF35Aの国内FACO初号機が2019年4月、夜間訓練中に墜落し、パイロット1人が死亡した。