東シナ海を北上中の台風12号は温帯低気圧になっても注意継続
台風12号のもととなった熱帯低気圧
令和3年(2021年)の台風12号は、8月としてはちょっと珍しい現象です。
台風12号の発生は8月20日15時ですが、そのもととなっている熱帯低気圧は、8月10日15時に中部太平洋から西太平洋に入ってきたものです(図1)。
8月16日には一時的に熱帯低気圧が消えていますが、熱帯低気圧は海面水温が台風が発達する目安の27度以上という海域を進みましたので、雲の渦は継続して西進を続けました。
秋が進んでくれば、太平洋高気圧の勢力の南への張り出しが弱くなり、太平洋高気圧の南縁に沿って、台風や熱帯低気圧が中部太平洋から日付変更線を越えて西進することがあります。
しかし、8月は太平洋高気圧の勢力が強く、太平洋高気圧の南縁に沿って西進する台風は少なく、むしろ、太平洋高気圧の中で発生し、ゆっくり北上してきたり、迷走する台風が多くなります。
令和3年夏の太平洋高気圧は、みかけより弱いのかもしれません。
宮古島付近を通過
台風12号は、8月22日14時すぎに沖縄県・宮古島付近を通過しました。
台風12号は、中心付近より南側に発達した積乱雲の塊を伴っており、宮古島では、台風が通過してからのほうが、風や雨が強くなっています(図2)。
台風12号は、通過前より通過後の吹き返しの風に警戒が必要な台風です。
その後も北上を続けますが、台風の進行方向には前線が次第に形成されています(図3、タイトル画像参照)。
このため、台風12号は日本海で温帯低気圧に変わる予報ですが、温帯低気圧に変わったとしても、引き続き、前線に向かって湿った空気を送り込むことには変わりがありません(図4)。
大雨に対して注意継続が必要です。
タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料に筆者加筆。
図2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
図4の出典:気象庁ホームページ。