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早稲田大学、大敗した帝京大学に今年どう迫る?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今季主将の伊藤。写真は昨季の選手権決勝(写真:松尾/アフロスポーツ)

 早稲田大学ラグビー部の大田尾竜彦監督が、2019年度以来17度目の大学日本一に向け練習内容を大幅に見直した。前年度の大学選手権決勝では、2年連続11度目の優勝を目指す帝京大学に20―73と大敗していた。

 5月6日、神奈川・小田原市城山陸上競技場。関東大学春季大会・Aグループ初戦で、東海大学に33―19で快勝した。試合後の記者会見および囲み取材で、新チーム始動後の歩みについて話した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——この日は鋭いタックルが多く見られましたが。

「今年は、去年の決勝を受けてコンタクトの部分を全面的に見直していて。タックルのスタッツ(統計)の取り方も変えました。接点を強化する練習内容にしています。試合を通して、相手を倒せるタックルができていた。練習の成果と学生たちの意志がひとつになっていたと思います。

 要は、自分たちを高めるためにより厳しくスタッツを取るようになった、ということです。倒し方の種類、成功の種類を見直した。いままでは『一応、倒した』みたいなものも『成功』としていたのですが、それを全部『失敗』にした。受け身のタックルをどれだけ減らすか、ドミネート(圧倒)できるかにフォーカスしています」

——レスリングのトレーニングをしたと伺っています。

「去年はやっていなかったのですが、タックルを倒す動作においてヒントになるものが多い。もう1回、導入した。やっているメンバーは2月からやっているので、成果は現れていると思います。(バルセロナ五輪・銅メダリストの)太田拓弥さんに来てもらったり、大学のレスリング部に胸を借りに行ったりしています」

——練習強度は。

「いままでも強度高く練習をしていましたが、より高くする。勝つためにこういうことが必要だとリーダーに話し、リーダー陣もそれを理解し、フルコンタクトの練習を多く入れています。去年の今頃は(1週間あたり)やって30分。いまは2時間に増えています。それも無理くりやるんじゃなく、なぜ必要かを伝えて、同意を取った。本来の早稲田が持つべきこぼれ球を集中して乗り越えていくようなことは、まだまだ高められる。ただ今日は、やってきたことが出せた」

——前回の決勝後、「全てが悪かったわけではない」とも仰っていました。どこに光明がありますか。

「ボールをスペースに運べるようになったのが去年の財産。今年はここに縦への圧力を加えたら、より相手としては止めにくくなる。宮尾(昌典)と(伊藤)大祐。この9、10番にどれだけいいオプション(パスの選択肢)を与えられるようになるか」

 チームは14日、熊本・えがおスタジアムで明治大学とぶつかる。

 帝京大学とは6月25日に埼玉・熊谷ラグビー場で対戦予定。大田尾は「(6月の帝京大学戦では)スタッツ上、去年のアベレージは越えたい。スクラムは自軍ボールを確保して相手ボールの反則をなくす。ラインアウトは獲得率85~90パーセント。今年の6月で相良(昌彦主将)組を越えたい」と青写真を語った。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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