純米大吟醸の芳香がたまらない!「酒々(SASA)」雨後の月の酒粕入り、ノンアルコールの和洋折衷菓子
サミットが開催される以前より、平和への祈りを象徴する場所のひとつとして世界的にも名前が知れ渡っている街、広島県。1945年8月6日に投下された原爆により、多くの尊い命や日常が奪われ、今もなおその爪痕が残されております。その日を境に沢山の和菓子屋さんも姿を消し、それまで紡がれてきた記録も消えてしまったというお店も少なくはありません。むしろ多数なのではないでしょうか。
そんな中、幾多の困難に直面しながらも凄惨な時代を乗り越え、令和の現代にまで息吹と歴史を繋いできた広島県の銘店のひとつが「御菓子処高木」さん。創業者でもある初代が原爆投下に巻き込まれて他界なさった後、甥であった二代目が出兵から戻り2年後にお店を再開なさったという強かなお店が提案するのは、広島の魅力満載の和洋折衷菓。今回はお菓子処高木さんの「酒々(SASA)」をご紹介。
開封した瞬間、まず飛び出してくるのが酒粕のふくよかな芳香。その一瞬だけ切り取ると大人のスイーツのような印象ですが、すぐに追いかけてくるバターやお砂糖、卵の心浮き立つようなバウムクーヘンの甘い香り。このふたつの切り替わりはぜひ体験していただきたいと思うほど、更にずっと鼻を近づけていたくなるような魅力が…
こちらは白餡の羊羹をバウムクーヘンを挟んだ三層構造。バウムクーヘンと羊羹それぞれに、国内外各大会にて数々の賞を受賞している広島県・相原酒造さんの「雨後の月」の酒粕が練り込まれています。
ふわふわっとしたバウムクーヘンですが、吸いつくようなしっとりとした潤いも湛えた絹肌。日持ちを考慮するとどうしてもパサつきが気になってしまうバウムクーヘンには、あえて柔らかく調整した白餡の羊羹をあわせるという工夫が。そのおかげで、三つの層が口の中で溶けていく親和性はぴったり!材料も和洋のテイストも全く異なる二種類なのに、なんとも摩訶不思議な食感。ただ甘いだけ、お酒の香りが豊かというだけではなく、万人に受け入れられるような甘味と日本酒の甘味が交互に混ざり合い、最後は雨後の月特有の、仄かにピリリとした刺激を残して引き締めてくれます。
製造過程においてアルコールは無くなっているので、お子様でも安心して召し上がることができます。
子供は美味しいお菓子ににこにこ、お酒好きさんはお菓子を食べながら「今夜の晩酌は雨後の月にしようかな」とにこにこ、でしょうか。