なぜわかる?! 桜の開花予想のしくみ
開花予想の歴史
桜は、日本人が大好きな花のひとつといっても良いでしょう。春の気配が感じられるようになってくると、開花を待ち遠しく感じるのは昔から変わりません。気象庁の資料によると、気象台での桜の開花予想に関する研究は明治時代末から始まり、1950年代からは全国(沖縄・奄美を除く)の開花予想が気象庁から発表されるようになりました。
近年は民間気象会社からも気象庁と同等の開花予想が発表されるようになったため、気象庁では2010年から開花予想の発表をやめました。現在は、民間気象会社のコンテンツのひとつとして、毎年各社から開花予想が発表されています。
開花予想のしくみ
そもそも、なぜ事前に桜の開花日を予想できるのでしょうか。これは、桜の開花のメカニズムがある程度詳細に分かっているからです。
春に咲く花のもと(花芽)は、なんと前の年の夏にはもう作られています。そして翌春に咲くまでの間は、休眠状態に入ります。その後、秋から冬の間に寒さにさらされて目を覚まし(休眠打破:きゅうみんだは)、春先に暖かくなってくると花芽が生長して、花を咲かせる、というわけです。簡単に言えば、
(1)休眠打破に必要な寒さは、どれくらいなのか。
(2)休眠打破した後にどのくらいの暖かさが続くと、開花に至るのか。
こうしたことを過去の統計などから分析すれば、気温と開花の関係を示した「予想式」を作ることができるのです。
その式に、「今年の冬から春にかけての気温変化がどうなるか」、1か月予報や3か月予報などこれから春にかけての気温推移の予想を入力して、この春の「開花予想日」を割り出すということになります。
(こうやって作られた開花の「予想式」は、気温推移の予想さえ的確なら、誤差は数日程度の精度とも言われています。)
大雑把なしくみは以上の通りですが、民間気象会社各社では、これにさらに工夫を加えています。
開花の「予想式」の精度をさらに高めるために、予測式そのものに近年の傾向をもとにしたチューニング(調整)をして、より最近の実態に即すように改良を加えたり…。また、冬から春にかけての気温予想の幅(ブレ・不確実さ)についても考慮した手法を開発して、さらに精度高く開花予想日を絞り込んだり…。より精度の高い予想を目指して、各気象会社で技術開発が続いているのです。
さらに、各社の予想はウェブサイトで公開されている場合が多いですが、開花・満開確率をグラフに示したり日付に幅を持たせたりなど、より上手に利用したい人向けの詳細情報が掲載されているものもあります。
ほかにも、開花予想は気象庁が観測している「標本木」を予想対象にしている気象会社が多い中で、標本木ではなく名所の桜の開花を独自の手法で予想している所もあるなど、主に観光用の気象コンテンツとして、各気象会社とも様々な工夫をして、力を入れているのがよく分かります。
桜の開花まで、西~東日本ではあと2か月ほど。まだまだ寒い日はありますが、冬は折り返し地点を過ぎつつあるようです。各社の桜の開花予想を見比べて参考にしつつ、そろそろ春のお出かけの予定を考え始めるのも楽しいですね。