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コロナ患者に川崎病似の症状73件(5歳児死亡)「子どもの8つの症状に注意」とNY州

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
子どもの感染症例は少ないが、新たな症例に多くの親が気を揉む(写真はイメージ)。(写真:ロイター/アフロ)

川崎病似の合併症で5歳児死亡

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が大流行中のアメリカ・ニューヨークでは、子どもの患者の中で、新型コロナに関連した不可解な合併症が見られはじめている。

ニューヨーク州保健局は5月4日、子どもに「川崎病」と似た症状が見られるケースが増えていると発表し、注意を促した。その多くは、血管の炎症などで病院に運ばれ、調べてみると新型コロナに感染しているか、抗体を持っているが、呼吸困難などいわゆるコロナの症状はないという。

このような合併症が確認されているのは15歳以下の児童で、4日時点の発表は15人だったのが8日には73人に増えた。

また7日、新型コロナに感染していた5歳男児が合併症により亡くなった。

報告されている症例について、クオモ州知事は8日の定例記者会見で、このように述べ危惧した。

「一般的に新型コロナの感染者の多くは子どもでないことがわかっており、事例としてはまだレアなケース」としながらも、「州内で新型コロナに感染した児童の中に、川崎病に似たような症状と毒素性ショック症候群のような症状で重症になるケースが73も報告されている」

州では先週も7歳の児童が新型コロナにより死亡している。州保健局ではこれらの疾患の繋がりや、これまでに新型コロナ関連死したほかの児童の事例などについて、これから詳しく調査していくという。

子どものこうした症状は、イギリスなどヨーロッパ諸国でも報告がある。

川崎病とは?

英語でも「Kawasaki disease」と呼ばれる。

1967年、川崎富作医師により「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」として発表されたため、病名がそのようになった。

全身の血管に炎症や腫れを引き起こす病気で、主に5歳未満の乳幼児に多く見られる。

初期症状は発疹と発熱で、高熱が出たり皮膚がむけたりする。

世界各地で報告されているが、特にアジア系の人が多く発症し、発展途上国での発症の報告は少ないとされている。

通常は治療で治る。

原因ははっきりと解明されていない。

注意すべき「子どものこんな8つの症状」

クオモ知事は同日の会見で、懸念すべき以下の8つの大枠の症状を発表した。

  1. 熱が5日以上続く
  2. (乳児)流動食や液体を飲み込めない、それらを与えづらい、(子ども)液体をうまく飲み込めない
  3. 激しい腹痛、下痢、嘔吐
  4. 血色がなくなるなど、顔色が悪い。肌に斑点ができる
  5. 息切れ、息がしにくい、過呼吸
  6. 動悸や胸の痛み
  7. 尿の量が少ない、または頻尿になる
  8. 無気力、倦怠感、イライラ、混乱症状が見られる

子どもに以上のような症状が見られたらすぐに医療機関を受診するようにと、州は人々に注意喚起している。

(8日のクオモ知事の記者会見。「川崎病に似た症例」の話は10:00あたりから)

Updated:

  1. クオモ知事の5月9日の記者会見をもとに加筆しました。
  2. この病気の正式名称はCDC(アメリカ疾病予防管理センター)により、Multi-System Inflammatory in Children(MSIC、MIS-C)小児性多臓器系炎症性疾患となりました。
  3. NY州の最新情報はこちらをご確認ください。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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