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レアルはなぜ復活したのか?「独裁者」クロースと「創造主」モドリッチの存在感。

森田泰史スポーツライター
ボールを運ぶクロース(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

ジネディーヌ・ジダン監督の解任の可能性が取りざたされていたレアル・マドリーだが、再び上昇気流に乗ろうとしている。

チャンピオンズリーグ・グループステージ最終節ボルシア・メンヒェングラッドバッハ戦を前に、マドリーはグループ敗退の危機に瀕していた。だがボルシアMG戦で勝利を収めてベスト16進出を決めると、続くリーガエスパニョーラの第13節でアトレティコ・マドリーとのダービー・マッチを制して、ジダン監督は胸をなでおろした。

なぜマドリーは復調したのだろうか。問題はそこにある。

ルカクと競り合うモドリッチ
ルカクと競り合うモドリッチ写真:Maurizio Borsari/アフロ

■中盤の機能性

12月17日付のスペイン『マルカ』紙の表紙を飾ったのは、マドリーのある2選手だった。ルカ・モドリッチとトニ・クロース。ジダン・マドリーで主力を張ってきた中盤の2選手だ。

「彼らが機能した時...」と『マルカ』の表紙には記されている。その際、マドリーに敵はいない、ということだろう。

モドリッチ、クロース、カゼミーロはジダン・マドリーで盤石の中盤を形成してきた。チャンピオンズリーグ3連覇を達成したチームで欠かせなかった3選手だ。今季、ジダン監督はカゼミーロ不在時の問題を解決するために取り組んできた。そのため、【4-3-3】と【4-2-3-1】を併用するようになった。

だがダブルボランチを組む機会が増え、自ずとモドリッチとクロースがマドリーの中盤の底に構える格好になった。ボルシアMG戦ではモドリッチが、アトレティコ戦ではクロースが輝きを放った。相乗効果で彼らのパフォーマンスが上がってきたのは偶然ではない。

パスを出すクロース
パスを出すクロース写真:ムツ・カワモリ/アフロ

■古老グループと狼煙

クロースは今季、リーガ11試合に出場している。パス本数701本、パス成功本数656本でパス成功率93%を記録している。

一方、モドリッチはリーガ13試合に出場している。パス本数748本、パス成功本数676本でパス成功率90%だ。

近年、マドリーは若返りを図っている。フロレンティーノ・ペレス会長の「若手推進プロジェクト」は着々と進められてきている。その筆頭はヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴ・ゴエスだ。そして、中盤にはフェデリコ・バルベルデやマルティン・ウーデゴールがいる。

だがマドリーが息を吹き返した背景には、30歳のクロース、35歳のモドリッチの存在があった。クロースが独裁者として、モドリッチが創造主として、ピッチに君臨していた。

度々、スペインメディアでvieja guardia(ビエハ・グアルディア)と形容される選手たち。「古老グループ」と揶揄される選手たちが、逆襲の狼煙を上げたのである。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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