「子どもを5千円で育てられますか?」児童扶養手当2人目以降の増額を求めて
■日本の「子どもの貧困」を知っていますか?
日本の子どもの貧困率は16.3%。6人に1人の子どもが「貧困」状態にあると言われているのをご存知だろうか。
これは「相対的貧困率」と呼ばれる数字で、その国で暮らす国民の平均的な所得の半分以下の収入で暮らす状態を指し、日本では年収約200万円以下で暮らす人たちが相対的に「貧困」状態にあると言われている。
OECDによると日本の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34か国中10番目に高く、OECD平均を上回っている。特に「ひとり親」家庭の相対的貧困率はOECD加盟国中最も高い。親が1年を通して働いていても「子どもが貧困」というのが日本の特徴だ。
東京都に本拠地を構えるNPO法人「キッズドア」。経済的な理由から満足な教育を受けられない家庭の子ども達に、無料で学べる環境を提供している。
なぜ今、日本で「貧困」が広がっているのか?子どもの貧困の実態とはどのようなものなのか?8bitNewsでは代表の渡辺由美子さんにインタビューをした。
ぜひこちらの動画を見てみて欲しい。
■「5千円で子どもを育てられますか?」児童扶養手当の欠陥
代表の渡辺由美子さんは「今の日本の状況は危機的だ」と語る。
特に着目しているのが、ひとり親家庭に支給される「児童扶養手当」の問題。2人目以降の子どもに対して支払われる額が1人目に比べると大幅に減額されている現状に着目し、貧困問題に取り組むNPOや有識者たちと連携し、手当の「増額」を政府に求める署名運動を開始した。
署名運動のタイトルは「ひとり親を救え!プロジェクト」。
渡辺さんらが立ち上げたプロジェクトによると、日本の母子家庭は123.8万世帯、父子家庭は22.3万世帯で、ひとり親世帯の貧困は深刻だという。
日本の母子家庭の就労率は約81%で世界でもトップクラスだが、正職員の率は39%なのに対し、パートやアルバイトなど、非正規雇用の割合が47%を占める。平均年間就労収入は181万円。ひとりでいくつもの仕事を掛け持ちしている例も珍しくない。その結果、日本のひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%と先進国で最悪の状況だ。
こうした貧困にあえぐ「ひとり親世帯」の生活を支援するため、国が実施している制度が児童扶養手当。扶養している1人目の子どもには、月額で最高42,000円を支給。2人目以降は額が大幅に減って月額5000円、3人目以降は、月額3,000円を支給する制度だ。
渡辺さんは「3人目以降にかけられる費用は、1日約100円にしかなりません。今や6人に1人の子どもが貧困。こうした子どもたちが満足に教育も受けられず将来、生活保護者になっていった場合、社会で支えなくてはならない存在になる。人口減少、少子高齢化が言われる中、子供たちへの投資がしっかりされなくては、日本はやがて滅んでしまう、それほどの危機感を持っています」と語る。
ひとり親の貧困が子どもの貧困を生み、子どもの貧困が将来の貧困を生むーー。
■「せめて1万円増額して欲しい」政府への要望、署名開始
渡辺さんたちはこうした状況を打開するために、「現在2人目月額5000円、3人目以降3,000円の児童扶養手当の加算額を、せめて1万円に増額して欲しい」と政府に要望するための署名活動を始めた。
安心して食べられ、安心して学べる環境が整備されなくては、貧困の連鎖を解決できない。
外からは見えずらいだけに埋もれてしまいがちな「子どもの貧困問題」。多くの人に関心を持ってもらい、将来を担う子どもたちを大人が支える仕組みが広がればと願ってやまない。