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ルーキーとか関係なし。スローガンであるWE READYの象徴となった馬場雄大

青木崇Basketball Writer
14点を奪ってアルバルク東京の優勝に大きく貢献した馬場(前列右から2人目)(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

"WE READY〜流した汗は裏切らない"

 チャンピオンシップに向けたこのスローガンを象徴するかのように、アルバルク東京はチームが一体となったパフォーマンスにより、2Q以降千葉ジェッツを攻防両面で圧倒。インサイドで存在感を見せつけて23点を奪ったアレックス・カーク、オールラウンドなプレーでファイナルMVPとなった田中大貴の活躍が、B1ファイナルを制した大きな要因になったと断言できる。

 しかし、ルーキーの馬場雄大がベンチ陣の核となり、1万2005人の観客で埋まった横浜アリーナの大舞台で臆することなく、持ち味を発揮したことも見逃せない。特に3Q残り3分54秒に人生で恐らく初めてというテクニカル・ファウルを取られた後に迎えた4Qのプレーは、A東京が千葉に追撃の隙を与えないうえで大きな意味があった。馬場のテクニカル・ファウルは、ドライブからダンクを試みた際にギャビン・エドワーズにブロックされたプレーがファウルにならず、「ファウルだろ!(その後のポゼッションで)見てくれよ」とレフェリーにアピールしたことが原因。富樫勇樹がフリースローを入れて52対47の5点差になり、千葉が直後のオフェンスで得点するような事態になれば、A東京は一気に逆転される危険に直面するような状況になった。

 それでも、馬場のフラストレーションはチーム全体でカバー。タフなディフェンスで富樫のショットを竹内譲次がブロックし、直後に2度オフェンス・リバウンドを奪われながらも得点を許さず、カークのレイアップと小島元基の3Pシュートで59対48とリードを広げる。正に"WE READY"、どんな状況でも対処できる準備をしてきたことの象徴と言えるシーンだった。

「ちょっとカッとなってしまったんですけど、すぐ冷静に切り替えられたので、逆にある意味燃えたというか、冷静にものを見られるようになったかなと感じました」と語ったように、テクニカル・ファウルを取られた後の馬場は、プレーのレベルが明らかに上がっていった。4Q開始早々に活発なボールムーブからフリーになると、右ウイングから3Pシュートを成功。9分2秒にドライブからファウルをもらって着実にフリースローを2本決め、6分48秒には速攻からエドワーズのブロックをかわしてのリバースレイアップを入れる。さらに、1分10秒にスティールから豪快なダンクを叩き込み、4Qだけで10点を奪う活躍を見せた。

 3Q終了時にA東京が12点をリードしていたといえ、勝負の行方を決める4Qでインパクトのあるプレーを見せるあたりは、馬場がすばらしい選手であることを示すもの。「前回の(シーホース)三河戦で最後の重要なところで決めきれたことが、個人的にちょっと気持を強く持っていて、落ちるわけないという思いで決められたので、すごく乗れました、正直」という言葉どおり、1Q終盤に決めた2本のフリースローでリズムをつかめたのも大きかった。

 23分21秒で14点、4リバウンド、2アシスト、3スティール、1ブロックショット。ビッグゲームにおけるルーキーのパフォーマンスということからすれば、多くのファンがすごいという印象を持つだろう。しかし、馬場はすでに日本代表のメンバーとしてアジアカップやワールドカップ予選を経験しており、現状に妥協せずに「どこを目指しているのか?」という姿勢が常にある。心身両面でREADY、準備ができていたことはB1ファイナルでのプレーを見れば明らか。「コーチやスタッフ陣のおかげで勝てたと思いましたし、一丸となっての勝利だと思います」と語ったように、スカウティングですばらしい仕事をした人たちへの感謝も忘れない。

 馬場が残したコメントは正に、今季のスローガンとして掲げた"WE"が、アルバルク東京の組織全体に浸透したことの証だった。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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