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佐賀戦の終盤でビッグプレーを決め、千葉の勝利に貢献した金近廉。好不調の波を抑えるきっかけになるか?

青木崇Basketball Writer
写真提供/CHIBAJETS FUNABASHI

 20歳になる直前の2023年2月23日、FIBAワールドカップ予選のイラン戦で日本代表デビューを果たし、昨季はBリーグの新人賞に選出された金近廉。10月6日の宇都宮ブレックス戦で渡邊雄太が左足を故障し、6週間離脱することになったため、プロ3年目の今季は活躍の機会を増やす絶好の機会と言っていい。しかし、ここまで15〜22分の出場時間を得ていたものの、23日の佐賀バルーナーズ戦を迎える前の成功率が30.8%と、金近はショットがなかなか決まらずに苦しんでいた。

 23日の佐賀戦、ハーフタイムで9点差をつけていた千葉は4Q中盤に5点のリードを奪われる事態に直面したが、その後10連続得点で逆転に成功。6ポゼッション連続で佐賀に得点を許さなかった時間帯を作った際、金近は身長203cmのオールラウンダー、チェイス・フィーラーをディフェンスで2度ストップしたのだ。

「前半に2本連続でやられてしまった部分があって、ベンチで原(修太)さんの守り方を見ていました。周りの選手が助けてくれるので、その中で自分ができる限り1対1で守れるように、というところを意識しました。あの時間帯だったので、より強度を上げてできました。それを前半からできたらよかったですけど、あの場面で2本守れたことはよかったと思います」

 こう振り返った金近は、1分32秒にリードを5点に広げる値千金の3Pショットを決めている。この試合では打ってもいいタイミングでパスをしてしまうシーンが何度かあったが、富樫勇樹からキックアウトのパスを受けると、フェイクとサイドステップでレイナルド・ガルシアのディフェンスをかわし、ショットクロック残り9秒のところで躊躇することなく3Pショットを打っていた。

「相手がスウィッチしていたので、開く場面や(ボールを)もらった時点でズレができるというのがあったので、最後のところですごく思い切りシュートを打てたのはよかったと思います」

 金近は残り30秒にヨーリ・チャイルズの3Pプレーにつながるファウルをしてしまったが、残り12秒に決まれば同点となるショットが外れた後のリバウンド争いで競り勝った。スタッツは17分44秒間で7点、4リバウンドだったが、4Qのオフィシャルタイムアウト後から試合終了までの4分57秒間、攻防両面でいい仕事をしていたのは間違いない。トレヴァー・グリーソンコーチは4Qでの金近を次のように評価した。

「大事な局面だったし、あれはビッグショットだった。そして、彼がエナジーを持ってプレーするところを私は気に入っている。まだ若いし、若さゆえのミスもいくつかあるが、非常に優れた選手になる道を間違いなく歩んでいる。背が高く、賢いし、3Pショットも打てる。(あの場面で)彼が恐れずに打ったことに私はハッピーだ。あのショットで点差が5に開き、2ポゼッション・ゲームになったと思う。最後にはビッグ・リバウンドを奪った。あれは成熟の証であり、彼が年齢を重ねて賢くなっていくことを願っている」

 21歳の金近が才能と可能性を秘めた選手であることは、多くの人が認めるところ。武器である3Pショットが決まった時と決まらない時の波が大きくなるという課題の改善に向けて、佐賀戦の4Qはいいきっかけになるかもしれない。コーチからの信頼度を上げるという点でも、金近にとっては大きな意味があった。

「一つ一つのプレーだったり、こういう時間帯でいいプレーできれば、より信頼を勝ち取れると思います。言われていることをしっかりやり切ることが重要だと思っているので、それをできてよかったと思います」

 今週末の長崎ヴェルカ戦は、攻防両面で一貫したプレーをできるかということに加え、馬場雄大とマッチアップするという点でも注目に値する。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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