保育士しか知らない、保育現場のリアル 現役保育士が解説する「不適切保育」とは一体何か?
こんにちは、子育てをする皆さんのために役立つ情報を簡単に、わかりやすく発信することをモットーにしている保育士のしん先生です。
今、社会問題になっている「不適切保育」ですが、なぜたびたび起こってしまうのでしょうか?
不適切保育の背景にはさまざま保育士問題が考えられます。
今日のニュースによると、「無園児支援」としてこれからは親が就労していなくても保育所の利用が可能になるとのことです。
保護者の立場から言えばとてもありがたいことだと言えますが、保育士にとってはどうでしょうか?賛否ありそうです。
さて、今回は保育現場のリアルな話と不適切保育について考えていきたいと思います。
保育士の仕事はどうして大変なのか?
単純に子育てからもわかるように、子どもの面倒をみるということは大変なことも多いです。大人の都合のいいようにいきませんし、体力も必要です。
保育園では限られた場所、限られた時間、限られた保育士の人数など、さまざまな制約があります、その中で一日が無事に終わらなくてはいけません。
子どもの遊びをただ見守っているだけなら国の配置基準でも無理はありませんが、保育士の仕事はそれだけではない上に、不測の事態が結構あるのです。
”子ども同士のトラブルによるけが” ”子どもの体調不良” ”保護者に対する思いがけない対応”などさまざまあります。
例えば、0歳児クラスで子どもが急に嘔吐した場合、そのクラスに保育士2人と子ども6人がいたとして、保育士1人が嘔吐の処理対応にあたれば、残りの子ども5人を処理の間、保育士1人でみなくてはならないのです。
嘔吐処理には、防護する→処理する→消毒するなど時間がかかります。
処理が終わるまで保育士はトイレにももちろん行けないですし、乱暴な子どもがひとりでもいればトラブルがないよう細心の注意が必要です。
日常の保育では似たようなトラブルが多々あり、気が休まる時間などほとんどありません、子どもの命を預かる仕事ですから。
不適切保育とは?
保育士という仕事は出勤してから退勤するまであっという間に終わるぐらい忙しいです。
保育していない時間は常に書類や事務仕事、保育の準備に追われ休憩もまともにとっていない人がほとんど。
休憩はきちんと時間的にはあるのですが、自分のやり残したことをやっている人が多いのが現実です。
当然、保育士も人間なのでストレスが溜まっていき、発散させたくなります、ついつい同僚の悪口や保護者のうわさ話など良からぬ解消法に向かってしまうのも現実です。
さらに行事前など、保育士の気持ちに余裕がなくなると”不適切保育”が起こってしまう原因の一つだと考えられます。
この不適切保育がエスカレートしていくと虐待になってしまうのです。
さて、”不適切保育”とは一体どこからどこまでを指すのでしょうか?
基本的には保育のやり方にマニュアルがありません、クラス担任のやり方や考え方で保育をしているのでそれぞれなのです。
言ってしまえばそれぞれの保育士で”不適切保育”のラインが違うわけです、以前保育士3人が逮捕された事件がありましたが、誰がみてもあきらかに不適切保育だったために明るみに出ましたが、悲しいことに氷山の一角でしょう。
行き過ぎではない不適切保育は、日常の中であちらこちらにあると思います、驚きかもしれませんがこれが現実です。
こうした背景にはやはり保育士に余裕がないからという現実があるからです。
人間は余裕がないとついイライラしますよね、保育士は子どもに対して指導したり、時には叱ったりしなくてはいけないはずですが、怒ってしまうのです、余裕がないために感情が入ってしまうのですね。
これから先もっと保育の需要は高まるばかりなのに保育士の環境は依然変わらないのはなぜでしょうか。
保育士を目指している若い人たちのためにもプラス1人の保育士を切実に望みます。
そして不適切保育というものがなくなるように願うばかりです。