太陽も公転していた!?太陽系の「真の中心」がヤバすぎる
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「太陽系の中心は太陽ではなかった!?」というテーマで記事をお送りしていきます。
太陽の圧倒的な重力
太陽はとてつもなく巨大な質量を持った天体です。
そもそも恒星という天体は核融合反応を中心で起こすことでエネルギーを放つ天体ですが、中心部で核融合が起きるには中心部がとてつもなく高温・高圧である必要があります。
天体の中心部で核融合が起こるほど中心部が高温・高圧になる、つまりその天体が恒星になるためには、最低でも木星の80倍程度の質量が必要であると考えられています。
それだけの重力があって初めて恒星になれるんですね!
地球の約320倍重く、そして太陽系の太陽を除いた全質量のうち実に7割を占める巨大惑星である木星のさらに80倍もの質量が「最低でも」必要という事なので、恒星という天体はとにかく重いです。
そして私たちの太陽系の主である太陽は木星の約1000倍もの質量を持っているため、恒星の下限値を大幅に上回るほど巨大な質量を持つ天体です。
太陽を含めた太陽系全体の質量のうち、太陽だけで実に99.9%近くを占めています…
そのため太陽系に属する全ての天体が太陽の強大な重力で拘束され、その周囲をぶん回されているわけなんですね。
太陽の重力で拘束され、その周囲を公転している構造が存在する領域を「太陽系」とすれば、太陽系の端にある構造はオールトの雲という構造になります。
オールトの雲は公転周期が長い長周期彗星の故郷であり、太陽系全体を包み込むような球殻状で広がっていると考えられている、仮説上の小惑星と彗星の大集団です。
実際に観測されたことはないので仮説上の構造の域を出ませんが、現在の推定では最も遠い領域で太陽から100000auの距離まで広がっていると考えられています!
auは地球と太陽の平均距離を1とした距離の単位で、約1.5億kmです。最遠の惑星である海王星までですら30au、約63000auで1光年なので、100000auは太陽系の遥か彼方の領域となります。
それだけ彼方にまで自身を公転させる天体が存在しているほど、太陽の重力は偉大だということがわかります!
太陽系の中心は太陽ではない!?
ですが実のところ正確には、太陽系の天体は太陽を中心に公転しているわけではないことが知られています。
むしろ太陽自身も他の太陽系天体と同様に、「太陽系の真の中心」を公転しているんだとか!
そんな太陽系の正確な軌道を描いたアニメーションが、JAXAの惑星科学者ジェームズ・オドノヒュー氏によって作成され、公開されています。
動画の中心部に固定されている緑色の点は、太陽系の共通重心です。
正確には全ての太陽系天体は太陽ではなく、この共通重心を中心として公転しています。
質量差がかなり大きいとはいえ木星や土星などのガス惑星による重力的な影響は非常に大きく、太陽さえもこの共通重心の周囲を公転していますね!
ただし木星や土星、そして天王星や海王星の重力までをも色んな方向から受け続けるために、太陽の公転軌道はとてつもなく複雑なものとなっています。
惑星と衛星も同様の関係に
このような関係性は、惑星と衛星間でも当然見られます。
ただし木星や土星などのガス惑星では、衛星に対して主星の惑星の質量が数千倍~数万倍以上と非常に大きいため、このように衛星の公転による惑星のブレが目立ちません。
ですが私たちにとって身近な月に対して、主星である地球の質量は約81倍なので、それほど質量の比が大きくありません。
なので地球も月の公転に合わせてブレていることが見て取れます。
ただし共通重心は地球の外には出ていません。
これが惑星の外に出るほど衛星が大きいと、その系はもはや惑星と衛星という関係ではなく、「二重惑星」や「双子惑星」と表現されるでしょう。
現状太陽系には二重惑星系は存在しませんが、準惑星にまで範囲を広げれば、そのような系が存在します。
それは、冥王星とその衛星であるカロンのペアです。
カロンに対し、主星である冥王星は8倍程度の質量しか持っていません!
そのためこのように、この系の共通重心は完全に主星の冥王星の外にあり、お互いが公転し合っているような関係性になっています。
仮に冥王星が準惑星に降格せず惑星のままだったら、もしかしたら太陽系内で唯一の二重惑星系に認められていたのかもしれませんね。
ちなみに衛星の公転に合わせた主星の動きの大きさは、衛星の主星に対する質量の大きさだけでなく、2天体間の距離の大きさにも比例します。
そのため遠くにある衛星ほど共通重心が主星の中心から離れやすくなり、例えば月と地球の平均距離が今の約38万から約52万に離れた場合でも、共通重心は地球の外に出ることになります。
月は現在年間で約3.8cmずつ地球から遠ざかっているので、遥か未来では、地球と月がお互いを公転し合う二重惑星系になっているのかもしれませんね。