10月31日（日本時間11月1日）にアメリカのラスベガスで、WBA＆IBF世界バンタム級統一王者井上尚弥（27＝大橋）がWBA同級2位・IBF同級4位のジェーソン・モロニー（オーストラリア）と対戦し、7回KO勝利を収めた。

破壊力があるジャブ

井上尚弥がラスベガスで行われた世界戦で、挑戦者のジェイソンモロニーを7ラウンド2分59秒で下しKO勝利した。

前半は積極的にプレッシャーを掛けパワーボクシングを展開。接近戦が得意なモロニーを寄せ付けなかった。

今回の試合で注目したいのは「左ジャブ」だ。

通常ジャブは相手との距離を測ったり牽制するために使われる。

しかし、井上のジャブは普通のボクサーのストレートと同じくらい威力がある。画面越しでも伝わる、凄まじいインパクト音には驚いた。

また、ジャブが当たるとその他のパンチも打ちやすくなる。踏み込んで当たる距離に下がらせる事ができるので、右ストレートも当てやすくなるのだ。

今回の試合でもジャブを起点として、アッパー、フック、ボディとパンチを打ち込んでいた。

戦術を変えられる展開力

臨機応変に戦い方を変えられる、これも井上の特徴だろう。

今回の試合でも序盤ではパワーボクシング、中盤以降は相手の出方を見ながらカウンターを合わせてタイミングをはかっていた。

ボクシングでは強いパンチで相手を倒せると思われがちだが、見えるパンチであれば体が瞬時に反応できるため強いパンチでも対処する事ができる。

しかし、パンチの打ち終わりなどの隙に見えないパンチを打ち込まれると倒れてしまう。

今回の試合でも、モロニーがジャブを打つタイミングで左フックを当ててダウンを奪っていた。

KOしたパンチはモロニーが打つタイミングより早くカウンターが当たっている。

これは高い技術がなければできない芸当だ。

新しいスタート

井上は27歳とまだ若いが、キャリアのゴールを35歳と決めているようだ。

デビューから9年経ち今が折り返し地点、これから井上の第2章が始まっていくのだろう。

現在、階級を超えた最強を決めるリング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングでも日本人初の2位につけている。

世界でも高い評価を得る井上が目指すのは、史上6人目となる主要4団体統一王者だ。

この階級には、WBC王者にノルディ・ウーバーリ（フランス）、WBO王者にジョンリル・カシメロ（フィリピン）がいる。

試合後には「両選手をターゲットにしている。タイミングがあった方とやりたい」と話していた。

どちらの選手と戦ってもハイレベルな試合になる事は間違い無いだろう。井上の4団体統一に期待したい。