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完敗からリベンジへ 井岡一翔が勝利に向けて鍵になるのは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

12月31日、東京・大田区総合体育館で前WBA世界スーパーフライ級王者で現同級6位の井岡一翔(志成)が、WBA世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に挑戦することが発表された。前回の対戦は7月に行われ、井岡は大差の判定で敗れた。マルティネスはIBF王座を返上しており、今回の試合はWBA王座を懸けた一戦となる。

前回の7月の試合では、井岡はマルティネスの圧力に対応できず判定負けした。これまで井岡は、前進力の強い相手をボディ攻撃で止めてきたが、マルティネスのプレッシャーが予想以上で勢いを抑えられなかった。本来、距離を取る戦法を得意とする井岡だが、マルティネスの勢いに押され、打ち合いを強いられる展開に追い込まれた。その結果最後までペースを握られず苦しい展開となった。ジャッジの採点は116-112、117-111、120-108と、全員がマルティネスを支持し、井岡は王座から陥落した。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

今回の試合について井岡は会見で、「前回負けているので、必ずリベンジしたいという思いが強いです」と意気込みを語った。これまで井岡はニエテスやジョシュア・フランコ(アメリカ)との再戦で勝利してきた実績がある。前回の対戦からあまり時間が経っていないこともあり、今回どこまで戦い方を変えられるかが注目される。負ければ引退の可能性もあるだけに、井岡のメンタルと戦術が鍵となるだろう。

井岡は過去に2014年アムナット・ルエンロン(タイ)、2018年ドニー・ニエテス(フィリピン)に敗れているが、どちらも2-1の僅差判定だった。それに対し、マルティネス戦は完敗といえる内容で、ボクシング関係者からも驚きの声が上がった。ボクシングの再戦では勝者が戦い方を変えないケースが多く、敗者が戦術を修正して臨む展開が一般的だ。今回もマルティネスは前回と同じ戦い方をする可能性が高い中、井岡は新たな戦略を持ち込む必要がある。マルティネスの得意とする近距離戦を封じ、井岡の武器であるジャブを活用してペースを掴み、相手の前進を止めて空転させられれば、勝利が見えてくるだろう。

これまで数々の偉業を達成してきた井岡が、進退をかけて挑むこの一戦に大きな注目が集まる。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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