北朝鮮の夜にまさかの光? 朝鮮半島「暗黒地帯」に変化
オーストリアの研究チームが、夜間の北朝鮮を撮影した衛星写真を比較・分析した結果、2016年から18年にかけ、咸鏡北道・南道と平安北道・南道、黄海南道の夜間光量がやや増えていることが確認された。15年には平壌以外の地域は光がほとんど見えなかったが、ここ数年は太陽光パネルの普及などで光量がやや増えたとみられる。
オーストリアのウィーン経済・経営大学が17日、学術誌「ネイチャー・リサーチ」で報告書を発表し、その中に記されていた。北朝鮮経済に詳しいウィリアム・ブラウン米ジョージタウン大学教授は米政府系放送局「ラジオ自由アジア(RFA)」の取材に「北朝鮮の一部の地域で夜間光量が増えた一因に、太陽光パネル増加を挙げることができる」と解説している。
研究チームは、夜間光量の高低などから北朝鮮の1人当たりの国内総生産(GDP)を「790ドル(約8万7000円)ほど」と推算している。
北朝鮮は統計資料をほとんど公開しておらず、客観的な数字で経済状況を示すのが困難だ。研究チームは発展途上国を対象にして夜間光量から経済指標を推算する研究を続けている。今回それを北朝鮮に適用したという。
《以下、加筆》
北朝鮮では慢性的にエネルギーが不足するうえ、2013年の核実験に伴う制裁強化によって中国からの原油提供にも圧力がかかった。
首都・平壌は発電所による電力が優先的に供給されるが、地方都市は深刻な電力不足となった。このため、地方都市の住民の間で、太陽光発電機を中国で購入して北朝鮮側に持ち込む動きが活発化し、集合住宅の窓に太陽光パネルが設置されている家屋が随所でみられるようになった。