片膝立てた田中麗奈の思い切りがかっこ良すぎる〈ブギウギ〉
おミネは芯の強さや懐の深さのあるキャラクター
「第19週では『東京ブギウギ』が披露され、視聴者の皆さんに楽しんでもらえたと思います。第20週は、戦後の社会問題にもなっている夜の女性たちの取りまとめをしているラクチョウのおミネ(田中麗奈)が新しく登場し、この時代の女性の生き方を描いています」
朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)の第20週について、制作統括の福岡利武チーフプロデューサーはこう解説した。
田中麗奈が演じるおミネはとても強烈なキャラクターだ。
「この役はとても難しい役です。田中さんは、この時代や、そこに生きる女性のことを、当時の映画を見たり、本を読んだり、熱心に勉強されました。また、衣裳合わせにもすごく長い時間をかけて、おミネというキャラクターを作ってくださいました。芯の強さや懐の深さみたいなところを強く意識して演じていただけて良かったと思います」
衣裳合わせにも時間をかけたというだけあって、髪に巻いたスカーフ、白い開襟シャツに紫のカーディガン、ひらひらした赤いスカート、赤いイヤリングとネックレスをみごとに着こなし、戦後の女性の雰囲気を鮮やかに立ち上げている。
とりわけ第94回では、訪ねてきたスズ子(趣里)の前に、立膝で座り、片足をむき出しにしているところが、色っぽさとたくましさとを兼ね備えた姐さんらしく、インパクトがあった。
「どういう姿で座るかは田中さんと演出の福井充広で話し合ったうえで、あのスタイルに決めて撮影しています。一部のスタッフからは、あそこまで足を出して大丈夫でしょうか、と心配する声もありました。が、僕は、田中さんのお芝居に見入ってしまって、気にならなかったんです。おミネのキャラクターをうまく出そうという思いで積極的にやってくださっている田中さんの気迫に引っ張られました」
夜の女たちへのスズ子のスタンス
急に出てきた戦後の女性問題ながら、田中さんがしっかり演じることで、伝わるものがあった。そもそも、戦後、出現した夜の女たちが社会問題になっているというエピソードもなかなかデリケートな題材で、それを描こうと思ったわけとは。
「スズ子のモデルである笠置シヅ子さんも、戦後、夜の女たちに支持されました。それはとても素敵なエピソードだと思ったので、ドラマでもそのエピソードは是非ともやりたいと思いました」
ただ、折につけ、福岡CPは、メッセージ性みたいなものをあまり前面に出したくないと語っている。今回、そのバランスをどう考えたのだろうか。
「そこはすごく難しいところだと思いました。雑誌記者・鮫島(みのすけ)による、夜の女たちについてどう思うかという取材に対して、スズ子は、事情がわからないから良いとか悪いとか言えません、というふうに答えます(第91回)。そういうスズ子のスタンスは大事だと思っていて。勝手に自分の考えをしゃべらないことが、スズ子らしさでもあるんです。ドラマでは、勝手に鮫島の解釈で書かれてしまうのですが……。スズ子の対応はあれで良かったのではないかなと僕は思っております」
連続テレビ小説「ブギウギ」
総合【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 *土曜は一週間の振り返り
NHKBS【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
NHKBSプレミアム4K【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
【作】足立紳 櫻井剛 <オリジナル作品>
【音楽】服部隆之
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【出演】趣里 水上恒司 / 草彅剛 菊地凛子 小雪 生瀬勝久 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【概要】大阪の下町の小さな銭湯の看板娘・福来スズ子(趣里)は歌や踊りが大好きで、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団し活躍後、上京。そこで、人気作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会い、歌手の道を歩みだす。“ブギの女王”と呼ばれた人気歌手・笠置シヅ子をモデルにした、大スター歌手への階段を駆け上がる物語。