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ぶっつけ本番でオーストラリア戦に臨むリスク

杉山茂樹スポーツライター
イラク1−1日本(写真:ロイター/アフロ)

「日本、イラクと1−1。6大会連続出場に王手」。この手の見出しをネット上で見つけることは難しくない。見出しの文字数には制限があるので、致し方ない面なきにしもあらずだが、これを目にしても危機意識は高まらない。これほどまでの接戦は、日本が初出場を飾ったフランスW杯予選以来。ジョホールバルの戦いで知られる20年前は、最初から悲願の戦いで、アジアの出場枠も3.5(現在は4.5)と厳しかった。それ以降の予選はほぼ無風の状態(2002年日韓共催大会は開催国枠での出場)だったので、今回は、W杯本大会の常連国になって初めて迎える試練になる。

王手というべきか。ピンチというべきか。一目瞭然だ。ところが言葉の数に特段、制約がないテレビまで「王手」、「あと1勝」を強調する。出場権を懸けて争う3チーム(日本、オーストラリア、サウジアラビア)の中で、日本だけがライバルの2チーム(オーストラリア、サウジアラビア)と戦わなければならない不利を抱えていることは積極的に伝えない。不思議な国ニッポン。悲観的な話がしにくい危なっかしい国だと僕は思う。

この気質はサッカーとの相性もすこぶる悪い。ハリルジャパンが苦戦を強いられている原因とも密接に関係する。悪いものを目にしても、見なかったことにする。見て見ぬふりを繰り返してきたツケをいま、見ている気がする。

ハリルホジッチやサッカー協会に、プレッシャーを掛けようとしない。それが日本のメディアの常識になっている。応援精神溢れる報道のように見えるが、どこか嘘臭い。姿勢は常に受け身だ。提案はしない。意見も吐かない。よりよいモノにしたいとの熱を感じ取ることが出来ないのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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