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保存署名の「大ケヤキ」伐採工事が始まる 東京・杉並

亀松太郎記者/編集者
まもなく伐採される東京・西荻窪の大ケヤキ(撮影・亀松太郎/12月11日)

東京都杉並区の西荻窪で、神社のご神木として地域で親しまれてきた高さ28メートルの「大ケヤキ」が、マンション建設のため、伐採されることになった。12月12日から、本格的な伐採工事が始まる。

住民の保存運動を受け「伐採延期」

このケヤキは、JR中央線の西荻窪駅から徒歩5分の住宅街にある。スーパーゼネコン・清水建設グループのデベロッパー「清水総合開発」が、マンション建設のため、2023年3月に購入した土地に立っている。

同年8月に伐採される予定だったが、住民の保存運動が起き、1万件以上の署名が集まった。さらに、杉並区から清水総合開発に対して、「樹木の保存」や「樹木医の診断」を求める要望が出された。

そのような動きを受け、大ケヤキの伐採はいったん延期となった。

その後、清水総合開発は2023年から24年にかけて複数回、樹木医の診断を実施。診断結果について、24年10月に開催した近隣住民向けの説明会で報告した。

清水総合開発は「木の根元の腐朽が進行して、幹の空洞率が80%の部分もあった。非常に危険な状態という診断だった」と説明。倒木のリスクを避けるために、大ケヤキを伐採することにしたと伝えた。

※参考記事:杉並「もう一つのトトロの樹」伐採を決断 清水建設グループがマンション建設に向けた工事を再開へ

12月12日から伐採作業に着手

大ケヤキの伐採は、清水総合開発が取得した土地に残っている「建物の基礎」などの解体工事の一環としておこなわれる。

12月2日から準備作業を実施。12日から、樹木の伐採が始まる予定だ。そのスケジュールは、近隣住民に配られた工程表(以下の画像)に示されている。

近隣住民に配布された工程表(一部)の写真
近隣住民に配布された工程表(一部)の写真

伐採の手順は、解体工事の担当業者によると「場内にクレーンを入れて、樹木の上部から徐々に撤去していく。そして、幹の根元に向かって切断していく」とのことだ。

そのステップは、近隣住民に配られた資料(以下の画像)でも、図面や写真を使って説明されている。

清水総合開発の説明資料では、大ケヤキの伐採をどのように進めるかが示されている(撮影・亀松太郎)
清水総合開発の説明資料では、大ケヤキの伐採をどのように進めるかが示されている(撮影・亀松太郎)

樹木伐採の手順

【ステップ1】外周仮囲い、ゲート整備、敷き鉄板整備、場内草刈り

【ステップ2】クレーン、高所作業車を使用して、大枝払いを実施

【ステップ3】残りの幹をクレーンで吊り上げて伐採

【ステップ4】伐採した樹木の搬出後、伐根作業を実施

大ケヤキはJR西荻窪駅から徒歩5分の住宅街にある。鉄道の高架のすぐそばにあるため、電車からも見ることができる(作成:亀松太郎・野村徳子)
大ケヤキはJR西荻窪駅から徒歩5分の住宅街にある。鉄道の高架のすぐそばにあるため、電車からも見ることができる(作成:亀松太郎・野村徳子)

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記者/編集者

大卒後、朝日新聞記者になるが、3年で退社。法律事務所リサーチャーやJ-CASTニュース記者を経て、ニコニコ動画のドワンゴへ。ニコニコニュース編集長として報道・言論コンテンツを制作した。その後、弁護士ドットコムニュースの編集長として、時事的な話題を法律的な切り口で紹介するニュースを配信。さらに、朝日新聞運営「DANRO」の創刊編集長を務めた後、同社からメディアを買い取って再び編集長となる。2019年4月〜23年3月、関西大学の特任教授(ネットジャーナリズム論)を担当。現在はフリーランスの記者/編集者として活動しつつ、「あしたメディア研究会」を運営。在住する東京都杉並区のニュースを取材している。

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