革命・8切り・都落ち・スートしばりにスペ3返し…統一ルールで日本のトランプゲーム『大富豪』を世界へ!
世代を問わず人気のトランプゲーム『大富豪』。実は有名なトランプゲームでは珍しい日本生まれのゲームです。しかし、ローカルルールが多いため、勝敗バランスの悪さや、出身の違う者同士がプレイする際に折り合いがつけにくい、などの問題がありました。そこで、ルールの世界統一を目指し、「日本発のトランプゲームである大富豪(大貧民)を世界に普及させること」をスローガンとして創設されたのが日本大富豪連盟です。「バリアフリー」を哲学とするという彼らの活動を取材しました。
●公式ルール「革命・8切り・都落ち・スートしばり・スペ3返し」
「大富豪は老若男女が楽しめるバリアフリーなゲームです。でもルールが統一されていないと負けた時に釈然としないんですね。統一ルールを作るには、スキルとラックのバランスが必要なので、その辺に注意して競技用公式ルールを設定しました」という代表の立入勝義さん。
日本大富豪連盟が推奨する五大公式ルール
【革命】…同数字4枚以上出すと、カードの強さが逆転
【8切り】…8を出すとターンを終了させられる。複数枚可
【都落ち】…大富豪が一番に上がれないと大貧民に転落
【スートしばり】…同じ記号が連続するとターン終了までその記号しか出せない
【スペ3返し】…ジョーカー一枚に対してスペードの3が勝利して、場を流せる
ローカルルールの中でも人気のある「階段革命」や「11バック」「ジョーカー返し」などは採用されなかった。ゲーム性を保ちつつ、だれもが楽しめる分かりやすさを追求した結果、シンプルでバランスの良いルールに仕上がっていました。少子高齢化や核家族化が進む中で、共通言語としてのゲームの存在に期待が集まります。
●小学生や女子高生も参加した第三回天下一大富豪大会
2011年に発起、2012年2月に第一回天下一大富豪大会、7月に第二回大会、2015年2月に第三回大会、と着実に歩みを進めてきた日本大富豪連盟。大会参加者の幅も広がってきました。
「自分が持っているカードをどう出していくか、良く考えることが奥が深くて楽しい」という、決勝戦で惜しくも敗退した森下祐介さんはなんと小学生。中学受験に合格したら出場を許すという両親との約束を果たして、和歌山からの参加。お母さんは、「相手がどう考えているのか、察する力がついたと感じます。カードを覚えるので暗記力も上がっていると思う」。と学習への影響も語ってくれました。
「確率と予測、ギリギリの読みの中で、強いものは刹那的で美しいです」と大富豪の魅力を語ってくれたのは、当日、エキシビジョンで参加していた大富豪ゲームのAI開発者、大渡勝己さん。「まだ相手の意図を読むところまでは行かない。パイアス的なものとか、人間の癖のようなものを学習してAIに実装したい」と意欲的です。
大会当日の様子は、YouTubeにて動画配信されています。
●ゲーム本来の魅力を失わず、社会的に意義のある仕組みを
大会以外にもトランプゲームを通じた社交の場として「社交部」という飲み会的なイベントを開催しており、緩めにプレイしたい人、ルールを覚えたい人、女性などを中心に人気を集めています。関西支部、西日本支部に続き、中国支部も設立され、勢いに乗る日本大富豪連盟。年初には次回のイベントについて告知が予告されています。
ゲームを通じて、コミュニケーション能力や論理的思考力を養うことが出来るのではないか、という議論は、教育の現場や社員研修などでしばしば話題になります。しかし、目的のためにやることは、「それ自体が面白い」というゲーム本来の魅力や動機と相反してしまいす。本当面白いと思った人が、それを伝えて人が集まり、結果として出会いや社交の場になったり、論理的に考えたり、相手の気持ちを察したりする機会が増えていくことが望まれます。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE・教養の未来研究所)
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