花嫁さんのお菓子とは?徳島県の「花嫁菓子」は、引き出物やプチギフトにも大活躍の甘いふのやき煎餅
花嫁菓子おめでたい席にはお祝いのお菓子がつきもの。和菓子屋さんのホームページでも「慶事菓子」という項目や「慶事の注文お承り致します」という文面がちらほら。お赤飯や練り切り、お干菓子など多彩な表現で作られるお祝い事のお菓子をいただくと、どこか温かい気持ちになりますね。
そんな慶事のお菓子でも、地域の風習と深いつながりがあるものも沢山。
徳島県では「初歩き」と申しまして、花嫁さんが嫁ぎ先のご近所の方へお菓子などをお配りする風習が今でも行われることがあります。その時に配られるお菓子として、長年地域の方が愛され続けているのが今回ご紹介する昭和27年創業、徳島県徳島市にお店を構える「浅井製菓所」さんの銘菓「花嫁菓子」です。
こちらの花嫁菓子は、ふのやき、という和菓子のひとつ。主な材料は非常にシンプルで、もち米とお砂糖のふたつ。あとはそれぞれに色付けを施していきます。お砂糖と共に蒸しあげたもち米をお団子状に丸め、それぞれを薄く伸ばしていきます。そこからじっくりと焼き上げていくのですが、これがまたなかなか大変な作業と技術を要するのです。
淡い色合いを保つためには、焦げ目をつけてしまうことはNG。そのため、常に色づき具合や火加減に目を光らせながら作業することが求められます。一長一短ではその感覚を養うことはできませんので、長年のノウハウを築き上げた浅井製菓所さんだからこそ。
焼き上げたお煎餅にお砂糖を水で溶いたものを纏わせるのですが、こちらも均一にうっすらと一枚一枚丁寧に作業しなければなりません。
ぱりっと軽やかで、心もふんわり優しい気持ちになれるような甘味は、大人も子供も馴染み深い味。深く考えることなく美味しいと率直な感想がポロリとでてきてしまう、それでいて懐かしいような久しぶりのような味わいです。
現在では披露宴の際に新郎新婦が手渡しするプチギフトや引き出物としても大人気とのこと。時代や様式は変わっても、おめでたい日には欠かすことのできない地域の銘菓です。