一番遅く上陸した台風
気象庁では、台風の気圧が一番低い場所が九州、四国、本州、北海道の上に来たときを台風の上陸としています。沖縄本島などの島の上を通過や岬を横切って短時間で再び海にでる場合は上陸ではありません。
あわや12月の上陸台風
台風の定義が「最大風速が毎秒17.2メートル以上の熱帯低気圧」となった昭和26年からの台風データベースによると、一番早い上陸は昭和31年(1956年)4月25日に鹿児島県大隅半島に上陸した台風3号です。
また、一番遅い上陸は平成2年(1990年)11月30日に和歌山県白浜町付近に上陸した台風28号で、あと8時間上陸が遅ければ、12月の上陸台風でした(表)。
古い資料による台風上陸
昭和25年以前の古い資料には、明治27年(1894年)12月10日に九州南部に台風が上陸したことになっています(図)。
しかし、当時は台風と温帯低気圧の区別はなく、温帯低気圧に変わっても、そのまま台風として扱っていました。
年毎に違う台風の癖
台風には年毎に違った癖があります。大規模な気圧配置が続いていると、台風の経路も似てきます。このため、台風が連続して同じ地方を襲うということは珍しくありません。
平成2年は台風の上陸が多い年で、6個も上陸していますが、後半の4個は、いずれも和歌山県に上陸しました。
当時の私は、気象庁予報課で6日周期の予報当番に入っており、偶然、台風上陸時に当番にあたることが続きました。台風28号が発生した時、今回も台風は紀伊半島上陸で、その時の当番に当たるのではないかと思ったのですが、その予感は当たりました。後に、和歌山地方気象台長として赴任する因縁があったのかもしれません。
台風28号により西日本から北日本の広範囲で大雨と暴風の被害が発生しました。静岡県では平地では警報級の大雨でしたが、山地では警報級の大雪でした。
早春や晩秋~初冬に上陸する台風の警戒事項
数が少ないのですが、早春や晩秋~初冬に上陸する台風もあります。
真夏と違い、日本付近の海面水温が低いために衰えながらの上陸となります。
しかし、低気圧に変わって発達して広範囲で強い風が吹いたり、前線を刺激して大雨となったり、北から寒気を呼び込んで大雪になったりする可能性があります。
台風と名前がつく以上、どの季節であっても油断できません。
図の出典:饒村曜(1993)、続・台風物語、日本気象協会。