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2026五輪プレシーズンの来季 世界女王・坂本、世界選手権銀メダリストの鍵山・りくりゅうに期待

沢田聡子ライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

フィギュアスケートの2023-24シーズンは今月で終わり、7月1日から2024-25シーズンが始まる。2026ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンとなる来季を前に、今季世界選手権日本代表のうち二人が引退を表明した。

男子シングルでは、宇野昌磨が今季限りの引退を明らかにした。宇野は、2018年平昌五輪では個人戦で銀メダル、2022年北京五輪では個人戦で銅メダル・団体戦では銀メダルを獲得。2022年・23年の世界選手権では連覇も果たしており、日本男子を牽引する重責を全うして選手生活を終えた。

新エースとして期待されるのは、北京五輪の個人戦・団体戦、2021年・22年・24年(今季)世界選手権で銀メダリストとなった鍵山優真だろう。実績十分の鍵山、今季世界選手権代表の三浦佳生を筆頭に、世界で戦える日本男子は何人も存在する。現在の日本男子は多くの才能が切磋琢磨しており、“神試合”となった今季の全日本選手権はその象徴だった。来季も、世界王者イリア・マリニン(アメリカ)に迫れる存在としての日本男子の活躍に期待したい。

アイスダンスでは、北京五輪・団体戦の銀メダル獲得に貢献した小松原美里&尊が解散(美里は引退、尊は今後について熟考中)。小松原組については、北京五輪代表最終選考会だった2021年全日本選手権、今季の世界選手権代表選考がかかった2024年四大陸選手権での精神的な強さが印象に残る。

今季の四大陸選手権で小松原組と競ったのは、若いカップルである吉田唄菜&森田真沙也、田中梓沙&西山真瑚だ。来季以降は、それぞれの魅力を持つ若手が競い合い、日本アイスダンスを前進させてくれることを期待したい。

一方女子シングルでは、北京五輪の個人戦で銅メダル・団体戦で銀メダルを獲得した坂本花織が、今季の世界選手権で3連覇を成し遂げ、揺るぎない強さをみせた。世界的に若年化と早期引退が目立っていた女子において、現在24歳の坂本が世界トップに君臨していることは、すべての女子スケーターにとって希望となるだろう。

また、坂本と共に今季世界選手権日本代表に選ばれた千葉百音と吉田陽菜は2人とも10代で、大きな可能性を秘めている。坂本の偉大な背中を追う若手の成長も著しい日本女子は、来季も活躍が楽しみだ。

日本代表ペアの歴史を作り続ける昨季の世界選手権金メダリスト・三浦璃来&木原龍一は、木原の腰椎分離症のため今季は出遅れた。しかし、復帰戦の四大陸選手権、そして世界選手権で銀メダルを獲得し、地力の高さを示して今季を終えた。

シーズンオフの三浦と木原は、来季に向け初めて組む振付師とプログラムを作ったことを、SNSで報告している。世界の表彰台で常連になった今もフレッシュな存在であり続ける“りくりゅう”の、新たな魅力に期待しているファンは多いはずだ。

来季の世界選手権(アメリカ・ボストン)は、2026年五輪の出場枠がかかる大会となる。日本の、そして世界のスケーター達が健康で良いシーズンを過ごし、ボストンですべての力を発揮することを願ってやまない。

ライター

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(フィギュアスケート、アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。2022年北京五輪を現地取材。

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