異世界には、10万人以上の現世人がいる? 漫画・アニメでおなじみの‶異世界転生″を検証してみた
明日から10月に入ります。
10月になれば、秋アニメが始まりますね。
今年の秋アニメは大豊作という評判で、2日から始まる『ミギとダリ』や、21日から始まる『薬屋のひとりごと』などなど、個人的にも楽しみな作品が目白押しです。
そして、ひところより落ち着いたものの、この秋クールにもやはり、「異世界もの」や「異世界転生もの」のライトノベル作品がアニメ化されています。
異世界転生ものはおおまかに、現実世界の主人公(現世ではパッとしない人物の場合が多い)が、何らかの事情(事故に遭う、ゲーム世界にダイブなど)でファンタジーな異世界に行くことから始まる物語です。
2000年初め頃から始まった異世界転生ブームですが、20年経ってもまだまだ衰えが見えないすごい熱量を持っています。
もっとも、似た性質を持つローファンタジー小説は古くからありますし、映像に限定しても、まだ映画が白黒だった時代からそのような内容の作品が作られています。遥か昔の神話のたぐいも人間界に神様が降り立つ逆異世界転生のような雰囲気ですね。
別の世界に行き来したり魔法の力を得たりするのは、私たち人間にとって永遠の憧れなのかもしれません。
でも、皆さんちょっと異世界に行きすぎじゃありませんか!?
異世界に転生できるのは、「何百年に一人の勇者」とか「選ばれし者」だと思っていましたが、異世界転生もののアニメや漫画を見ていると、どうも違うようです。
作品によっては異世界に転生した主人公が、別の転生してきた人物に出会うこともあります。さらに、作品と作品の垣根を越えて俯瞰すれば、かなり沢山の人が異世界転生しているように思います。
なんだか心配になってきました。
もしかすると、異世界は現世の住人であふれかえっているのかもしれません。
せっかく異世界に転生しても、住んでいるのが現世出身の人ばかりでは、夢もロマンもありません。
このまま現世人が異世界に転生し続けていても、異世界はちゃんと異世界で在り続けられるのでしょうか? 観光公害ならぬ「転生公害」は起きていないのか!?
ということで、今回は、どれくらいの人が異世界に転生しているのかを計算してみます。
異世界に行くための条件を設定する
まずは、異世界に行けるのがどんな人なのか考えます。
転生する年齢は作品によってまちまちですが、10代~20代くらいが多いでしょう。ときには、中高年になってから若返りつつ転生したり、精神だけが転生して若者やモンスターなどの肉体に入ったりと、アクロバティックな転生をする人もいます。
ただ、転生のすそ野を広げすぎると計算に支障がでるので、ここでは若返りや憑依のような転生は除外して、転生できる年代を絞り、10代中盤・高校生を転生のターゲットとして考えてみます。
転生できる人の条件も作品によって違いますが、よくあるパターンとしては、現世ではパッとしない不遇な人生を歩んでいる人が多いでしょう。
つまり、いわゆるリア充の逆であることが異世界に行くための条件だと考えられます。
(リア充とは、「リアルで充実している」の略語で、「友達が多い」、「趣味や仕事で輝いている」、「恋人がいる」など、そうでない人たちから羨望の対象になる状態を表します)
よって、ここでは下記の2つの条件を満たす高校生が異世界転生するものと考えます。
- モテない
- 成績が悪い
※ 友達は少なくても異性から人気があったり夢に向かって突き進んでいたりすれば、異世界転生ではなく、ラブコメやサクセスストーリーを歩むはず。ということで、この条件を設定しました。
不遇条件1「モテない」
まず、モテない高校生がどれくらいいるのかを計算してみましょう。
高校生へのアンケート調査によると、約75%の人が「恋人がいない」と回答するそうです。内訳は、「過去にいた」が約35%で、「恋人がいたことがない」は約40%とのことです。
また、「恋人がいない人」のうち、約70%の人が「恋人が欲しい」とのこと。
過去に恋人がいてもいなくても、「恋人が欲しい」という気持ちの割合が変化しないと仮定すると、約28%の人が「恋人が欲しいけど恋人がいたことがない」=「モテない」状況ということになります。
つまり、全高校生の約28%が(条件1)に合致した異世界転生候補者になります。
不遇条件2「成績が悪い」
成績が悪いと言っても、本人がその成績に納得して充実した毎日を送っていれば異世界転生の条件にはなりません。また、勉強はできなくても、部活などで青春の汗を流すことに充実感を感じている人もいるでしょう。
一方で、それなりの能力はあるのにレベルの高い学校に入ったために落ちこぼれてしまうとか、高い能力を持っているのに校風に馴染めず孤立してしまうとか、そういった不遇は異世界転生の条件を満たしていると考えられます。
そこで、ここでは、クラスで最も冴えない学校生活を送っている(と思っている)人を、異世界転生の(条件2)に合致する異世界転生候補者と考えます。
高校生の人数は、日本全国で約300万人ほどです。1クラス40人だとすると、全国には75000クラスがあることになります。(条件2)を満たした異世界転生候補者がクラスに1人ずついるとすると、人数も75000人ということになります。
異世界転生する人数は?
上記の(条件1)と(条件2)をともに満たした異世界転生対象者は、75000人の28%となり、計算すると、その人数はなんと、21000人です!
21000人・・・
かなり多くの人が異世界に転生していますね・・・
そして、今いる高校生の中で、転生基準を満たす人が一斉に転生したとすれば21000人ですが、高校は3年間あり、高校3年生は翌年には卒業し、同時に新高校1年生が入学してきます。すると、また新たな異世界転生候補者が増えることになります。
それを加味して、現在の異世界にどれくらいの現世の人が住んでいるのかを計算してみます。
転生者は年間7000人
高校3年間での転生者が21000人だとすると、単純計算で1年につき7000人が異世界に転生していることになります。
こちらの世界で異世界転生ものが流行しているこの20年間、同じペースで新たな人たちが異世界に転生し続けていたとしたら、その人数は14万人になります!!
異世界が日本と同じような規模・システムだったとして、14万人もいれば、転生者だけで一つの都市を築くこともできる人数です。
ただし、全国各地に分散して転生した場合は、転生者同士が互いにほとんど知り合わずに過ごすことも可能です。そう思うと、なかなか妥当な人数かもしれません。
いかがでしたか?
人類の永遠の憧れの1つであろう「異世界転生」。
その門戸は思ったよりも広いようです。
不遇の高校生時代を過ごしても異世界転生することなく大人になっている人もいます。
その人数分だけ大人になってから転生する人がいるのだとすれば、たとえ何歳でも異世界転生のチャンスがあるはずです。
そんなことを考えながらアニメを見たり漫画を読んだりして、「そろそろ自分も異世界転生するのでは?」と、妄想するのも楽しいことでしょう。何かで行きづまっているときには、今が異世界転生の準備期間なのだと考えれば気持ちが軽くなるはずです。
でも、考えてみれば、卒業、進学、バイト、就職、結婚、転職などなど、現世を生きていてもいろいろな転機があって、去年と今年ではまるで‶異世界″というような変化もたびたび起こります。まずは、異世界転生より、これからの未来に期待しましょう!
異世界には行けなくても、現実が劇的に変化することもあるかもしれませんよ!!
あーあ、異世界転生したいなぁ・・・。