主な新興国/米国経済ニュース(12日)
米油・ガスパイプライン大手キンダー・モルガン、3子会社を完全買収へ
米石油・天然ガスパイプライン運営大手キンダー・モルガン<KMI>は8日、エネルギー関連子会社3社の外部出資者から全持ち株を440億ドル(約4.5兆円)で買い取る計画を明らかにした。3社の承継債務の買い取りも含めると総額では710億ドル(約7.2兆円)となり、エネルギー関連のM&A(企業の買収・合併)としては1999年の米石油大手エクソンによるモービル買収の745億ドル(約7.6兆円)に次いで2番目の規模となる。
買い取りの対象となる子会社はキンダー・モルガン・エナジー・パートナーズ<KMP>とキンダー・モルガン・マネジメント<KMR>、エル・パソ・パイプライン・パートナーズ<EPB>の3社で、3社の株主に対し、現金と株式の組み合わせで支払う予定。買い取り価格は先週末の3社の株価の終値に対し12-16.5%のプレミアム(上乗せ額)となっている。同社は北米で総延長8万マイル(約13万キロ)の送油・ガス管網を運営する業界大手として知られる。
同社は、この子会社3社の完全買収によって、グループ全体としての配当金の引き上げや資本コストの大幅削減、さらには株式をM&Aの買収資金として活用することが可能になるとしている。また、同社は来年の配当金を1株当たり2ドルへ16%増配し、2015-2020年も年間10%の増配を実施するとしている。
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米アマゾン、米ディズニーの最新DVD・ブルーレイディスクの予約販売中止
米オンライン小売り大手アマゾン<AMZN>は米大手出版社ハケット・ブック・グループの電子書籍の販売価格をめぐる協議が難航していることから、自社ショッピングサイトでのハケットの新刊の予約販売を中止するなどの対抗措置を講じたのに続いて、今度は米娯楽・エンターテインメント大手ウォルトディズニー<DIS>との間でも同様な問題で最新のディズニー映画のDVDやブルーレイディスクの予約販売の中止に踏み切った。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などが10日に伝えた。
ディズニーのDVDとブルーレイディスクの予約販売中止の中には、新作の「キャプテンアメリカ:ザ・ウィンター・ソルジャー」や「マレフィセント」、「ザ・マペッツ」の続編「マペッツ・モスト・ウォンテッド」が含まれている。ハケットの場合も、新刊本の電子書籍の予約販売の中止に加え、他の電子書籍についても顧客への配送期間を長期化させるなどの対抗措置が取られており、両社間の新たな紛争の種となっている。ハケットは電子書籍を12.99-14.99ドルで販売したいとしているのに対し、アマゾンは9.99ドルを主張して対立している。アマゾンは電子書籍市場の60%を超える圧倒的な市場シェアを持っている。
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米衣料品小売りギャップ、7月売上高が予想上回り株価急騰
米衣料品小売りチェーン最大手ギャップ<GPS>が先週、発表した7月単月の売上高は前年比5%増の11億7000万ドル(約1200億円)、また、既存店ベースの売上高も同2%増となり、アナリスト予想の0.1%増を上回った。
この結果、5-7月期の売上高も前年比3%増の39億8000万ドル(約4060億円)となった。同四半期決算は21日に発表される予定だが、同社は1株当たり利益(希薄化後)が前年同期の64セントから73-74セントへ、また、調整後の1株当たり利益も68-69セントになるとの予想を示し、アナリスト予想の66セントを上回った。これを受けて、同社の株価は8日、5.9%高の42.57ドルで引けている。
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MSCI、ロシアのズベルバンクとVTBを指数銘柄として維持へ
米モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は先週末、ウクライナ危機をめぐる西側の対ロシア制裁第3弾とロシア政府による食品輸入禁止の報復制裁の決定という東西関係の悪化を受けて、指数構成銘柄からロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)と国営金融大手VTB(対外貿易銀行)の2行を外すかどうかについて検討していたが、当分の間、指数銘柄として維持することを決めた。モスクワ・タイムズ(電子版)などが10日に伝えた。
EU(欧州連合)は7月31日に発表した第3弾の対ロ制裁で、欧州の個人投資家や銀行などの企業がズベルバンクやVTB、国営天然ガス大手ガスプロム傘下のガスプロムバンク、ロシア農業銀行などロシア政府が過半数の株式を保有する国営の金融機関が新規発行、または、残存期間が90日を超える社債や株式の購入、または売却を禁止した。
MSCIは今回の決定について、「投資家と協議した結果」とした上で、「当面はズベルバンクとVTBの2行の新株と既存株の合同運用で問題が発生する懸念はない」としている。MSCIは多くの投資ファンドがポートフォリオを決定する際に利用されており、もし、MSCIの株価指数からズベルバンクとVTBが除外されれば、2行の株式に対する投資需要がかなり減少し深刻な影響が及ぶ可能性があった。
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ガルーダ・インドネシア航空、来年にも自己資本増強か
インドネシア航空大手ガルーダ・インドネシア航空のハンダリト・ハルヨノCFO(最高財務責任者)は先週末の会見で、ここ数年で急速に進められた事業拡大で財務体質が弱体化したとして、来年にも株主に対し自己資本の増強を求めたい考えを明らかにした。ジャカルタ・ポスト(電子版)が9日に伝えた。
同氏は、「今年末までは十分な資金があるが、現在のペースで事業拡大を行って行けば、来年には債務超過(自己資本がマイナス)の増強が必要になる」と述べている。現在、同社の負債総額は20億5000万ドル(約2100億円)に対し、自己資本は12億8000万ドル(約1310億円)で、財務の健全性を示す負債比倍率(DER)は1.6倍と比較的高い水準となっている。
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ブラジル中銀週報:2014年GDP伸び率見通し、11週連続で下方修正
ブラジル中央銀行が11日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2014年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比0.86%増から0.81%増へ下方修正された。下方修正は11週連続。1カ月前の予想は1.05%増だった。また、2015年のGDP伸び率見通しも前週予想の同1.5%増から1.2%増へ引き下げられた。1カ月前の予想は1.5%増だった。
また、2014年末時点の政策金利見通しは、前週予想の11%のまま据え置かれた。据え置きは10週連続。1カ月前の予想も11%だった。2015年末時点の見通しも前週予想の12%のまま据え置かれた。据え置きは11週連続。1カ月前の予想も12%だった。次回9月の金融政策決定会合時の政策金利の見通しは前週予想の11%のまま据え置かれた。据え置きは14週連続。
IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2014年は前週予想の前年比6.39%上昇から6.26%上昇へ上方修正(改善)された。上方修正は4週連続。1カ月前の予想は6.48%上昇だった。2015年の見通しは前週予想の6.24%上昇から6.25%上昇へ下方修正(悪化)された。下方修正は4週連続。1カ月前の予想は6.1%上昇だった。(了)