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北朝鮮が弾道ミサイルらしき発射を行い失敗、海上で爆発か

JSF軍事/生き物ライター
韓国のSNSに投稿された北朝鮮ミサイルらしき飛行。不具合が起きていると見られる

 6月26日午前5時28分ごろ、北朝鮮が弾道ミサイルらしきもの1発を西部の平壌近郊から日本海に向けて発射しました。韓国軍の観測では北朝鮮ミサイルは東部の元山の沖の海上で爆発し(指令爆破の可能性)、発射試験は失敗したものと分析されています。

韓国軍の観測

  • 水平距離250km(海上で爆発)

日本自衛隊の観測

  • 水平距離200km以上
  • 最大高度100km

 最大高度は4月2日に発射した中距離級の固体燃料式の極超音速滑空ミサイル「火星16ナ」と同じで、発射地点や発射方向も似通っており、今回の発射試験も火星16ナではないかと推定されています。

※2024年6月27日追記:北朝鮮は「多弾頭戦闘部(MIRV)の分離および誘導操縦試験を成功裏に行った」と主張。

※MIRV(Multiple Independently-targetable Reentry Vehicle、複数個別誘導再突入体)。ICBM用の複数弾頭。

北朝鮮がMIRV(複数個別誘導再突入体)の初期レベルの発射実験を成功させたと主張(2024年6月27日)

 なお6月26日の北朝鮮ミサイルは発射して直ぐの加速中の様子が韓国の北部で映像に捉えられており、北朝鮮ミサイルは姿勢を乱してぐるぐるとスピンしながら飛行しています。この時点で既に不具合が起きていたと見られます。(追記:6月27日の北朝鮮の説明ではスピンしているのは囮の欺瞞体)

【北朝鮮MIRV複数個別誘導再突入体の関連記事】

※北朝鮮がMIRVの開発方針を初めて公表したのは2021年1月9日。この時の表現は「다탄두개별유도기술(多弾頭個別誘導技術)」。

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※2024年1月14日の発射はミサイル正式名称の発表は無し。火星16(無印)ないし火星16カ(火星16A)であると推定されている。データ取得用の試験用で正式採用する予定が無い可能性がある。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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