北朝鮮が「極超音速ミサイル」を固体燃料化した新型中距離ミサイルの試験発射に成功
北朝鮮は1月15日、前日の1月14日午後に極超音速滑空弾頭を装着した新型固体燃料中距離弾道ミサイルの試験発射に成功と主張しました。飛行距離などのデータは公表されていません。なお金正恩の視察はありませんでした。
なお1月14日に日本防衛省は「最大高度50km、水平距離500km以上」を観測したと発表、韓国軍合同参謀本部は「距離1000km、中距離級」と発表しています。1月14日の14時53分ごろに北朝鮮の内陸部から日本海に向けて発射されています。
この北朝鮮の新型ミサイルは大気の上層部を滑空跳躍しながら飛ぶ極超音速滑空ミサイルであるためロフテッド軌道(山なりの弾道)は取れず、狭い日本海の中で試験発射を完結させるために意図的に全力発揮せずに飛行している可能性があります。おそらく実際の最大性能の飛行能力は3000km級以上、4000~5000km級である可能性が大きいと推測します。
※ミサイルを拡大。
弾頭の形状は2022年1月5日および1月11日に発射した「極超音速ミサイル(北朝鮮側の発表した名称)」とよく似ており、ブースター部分のロケットを液体燃料1段式から固体燃料2段式に変更したものである可能性が高いと推定できます。
※弾頭部の滑空体は操舵翼が見える。
※ミサイル側面の電気配線管(cable raceway)が二つに分かれており、それぞれ第1段と第2段のロケット推進部分と推定される。
※ロケットの燃焼効率から、IRBM(中距離弾道ミサイル)の場合は液体燃料なら1段式で固体燃料なら2段式、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の場合は液体燃料なら2段式で固体燃料なら3段式という構成が世界的にも一般的。
2022年1月の北朝鮮「極超音速ミサイル」試験発射の記事
- 2022年01月05日:北朝鮮が弾道ミサイルらしきものを発射、しかし日韓は最大高度を発表できず。極超音速滑空ミサイルの可能性
- 2022年01月06日:北朝鮮が新型の極超音速滑空ミサイルを試射し、側面機動を実施したと発表
- 2022年01月11日:北朝鮮が6日ぶりにミサイルを発射。再び極超音速兵器か
- 2022年01月12日:北朝鮮が極超音速ミサイル試射に再び成功、金正恩が視察したと発表
北朝鮮「極超音速ミサイル」関連記事
- 2022年01月07日:北朝鮮の新型極超音速ミサイルは前回発射の火星8よりも技術的に古い代物
- 2022年01月09日:北朝鮮の機動式弾道ミサイルの系譜
- 2022年01月11日:北朝鮮の機動式弾道ミサイルの「側面機動」
- 2024年01月14日「極超音速ミサイル」:固体燃料2段+滑空弾頭
- 2022年01月11日「極超音速ミサイル」:液体燃料1段+滑空弾頭
- 2022年01月05日「極超音速ミサイル」:液体燃料1段+滑空弾頭
※滑空弾頭はほぼ同型だが微妙に形状が違う可能性。
※2022年の液体燃料型「極超音速ミサイル」は中距離弾道ミサイル「火星12」の燃料タンクを短くしたものをブースターに使用している可能性が高い。