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今日、世界食料デー  グリーンピースが「人を中心とした食と農業の未来像ー7つの原則」を発表

大野和興ジャーナリスト(農業・食料問題)、日刊ベリタ編集長

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは国連が制定した世界食料デーの本日、新レポート「生態系農業:人を中心とした食と農業の未来像ー7つの原則」の日本語版を発表しました。多くの国で実施されている化学農薬や肥料を大量に投入する農業モデル(工業型農業)は、地球環境に大きな脅威を与えています。本レポートの目的は、現状の農業モデルとは別の、有機農業や自然農法などの生態系と調和した農業は環境を守りかつ世界の需要を満たすことが可能であると立証することです。生態系農業に関して世界の科学的証拠を考察し、めざすべき食と農業の未来像について7つの原則(注1)を導いています。

世界人口70億人のうち、10億人が肥満に悩み、10億人が飢えに直面している事実や、最終的に食料の30%がに廃棄されているという事実は、現状の食料システムが破綻していることをしめしています。現在の工業型農業は地球の淡水資源の最大の汚染源となっており、持続可能性を失っています。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 食と農業担当 関根彩子さんは「今の農業モデルが引き起こす問題は、私たちの命をつなぐ食の問題であり、一人一人の生活に直結しています。私たちの豊かな食生活を支えつつ、生態系とも調和した未来のためには、工業型農業から農薬に頼らない食糧生産システムである生態系農業は唯一の解決の道であり、一刻も早いシフトが必要です。生態系農業にシフトしていくには、すでに実践している農家やこれからシフトしようとする農家をサポートし、皆で支えていくことが必要です」と訴えました。

グリーンピースは生態系農業へのシフトを起こすために、国会議員を通じて政府に対し生態系農業の価値を見直し有機農業へのサポートを求める署名(注2)を集めています。また、生態系農業で育てられた食べ物を身の回りに増やすため、有機給食を提供する保育園・幼稚園を増やす試みも行っています(注3)。

レポート「生態系農業:人を中心とした食と農業の未来像ー7つの原則」日本語版

http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/food/7principles/

第一章 はじめに

第二章 グリーンピースの食と農業ビジョン:7つの原則

第三章 グリーンピースの7つの原則の科学的裏付け

第四章 結論

注1)1. 食料主権 2. 農家と地域社会へもたらす利益 3. 経験と科学にもとづく生産方法と産出高 4. 生物多様性と多様な種子のシステム 5. 持続的な土壌の健全性とよりきれいな水 6. 生態系に対して害のない害虫防除 7. 気候変動に強いる食料生産食

注2)「No Bees,No Food.『子ども・ミツバチ保護法』を求める署名www.greenpeace.org/japan/ja/Action/NoBees/

注3)「ハッピーランチガイド」www.greenpeace.org/japan/ja/Action/HappyLunch/

<本件に関するお問い合わせ>

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンGreenpeace Japan http://www.greenpeace.org/japan/

Tel: +81-(0)3-5338-9800 Fax:+81-(0)3-5338-9817 Mobile: +81-(0)80-3930-3342

ジャーナリスト(農業・食料問題)、日刊ベリタ編集長

1940年、愛媛県生まれ。四国山地のまっただ中で育ち、村歩きを仕事として日本とアジアの村を歩く。村の視座からの発信を心掛けてきた。著書に『農と食の政治経済学』(緑風出版)、『百姓の義ームラを守る・ムラを超える』(社会評論社)、『日本の農業を考える』(岩波書店)、『食大乱の時代』(七つ森書館)、『百姓が時代を創る』(七つ森書館)『農と食の戦後史ー敗戦からポスト・コロナまで』(緑風出版)ほか多数。ドキュメンタリー映像監督作品『出稼ぎの時代から』。独立系ニュースサイト日刊ベリタ編集長、NPO法人日本消費消費者連盟顧問 国際有機農業映画祭運営委員会。

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