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「片づけなさい」では片づけができる子は育たない

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

私は、片づけを通じ誰かのマネをするのではなく「自分らしい暮らしを選べる人」を増やす活動を始めて9年、小中高の4人の子どもを育てる親です。

私は、これまで子育て中の親の「部屋が散らかる」「子どもが片づけてくれない」という話を何度も聞きました。こういった問題は、子育て家庭でストレスを感じることの上位にあるのではないかと思います。

そうなると、つい子どもに対して言ってしまう言葉が「片づけなさい」です。

しかし、「片づけなさい」という言葉で、家がいつも片づくとは言えません。子どもも思うように動いてくれませんし、親が余計にイライラすることもあります。

そこで、今日は子どもに片づけを教える時に、「片づけなさい」の言葉が最適なのかを考えてみたい思います。

「片づけなさい」と言われて、行動できるだろうか

私は子どもの頃、片づけができなくて親によく「片づけなさい」と言われていました。しかし残念ながら片づけができないまま大人になりました。

そして大人になっても、足の踏み場もない部屋を見ては「片づけよう」と思うものの、どうしてよいかわからず、とりあえず床に広がったモノを部屋の隅に寄せ集めて、自分の歩く道を確保していました。

なぜ、子どもの頃から「片づけなさい」と何度も言われたのに、片づけができるようにならなかったのでしょう。

今、私が片づけができるようになってわかったのは、「片づけなさい」という言葉だけでは、子どもはどうしたらよいのかわからない、ということです。

片づけというと、多くの人は、床にあるモノなどをあるべき場所に戻しキレイな状態にすることをイメージするでしょう。

しかし現実は、

散らかっているモノが多すぎる
いざあるべき場所に戻そうとしても、どこかわからない
あるべき場所に別のモノが入っている
すでにモノがぎゅうぎゅう詰めである
そもそも収納場所が決まっていない
片づけてもすぐに元に戻ってしまう

というような様々な問題があるので、「片づけなさい」と言われたものの、何をどうしたらよいか、何から始めたらよいのかわからないのです。

これは、子どもだけではなく、大人も感じたことがある人が多いのではないでしょうか。

我が子に「片づけなさい」と言い続けた結果

子育て中のイライラは、家が散らかっている時に大きくなると言われます。だから、ついつい言ってしまうのが「片づけなさい」です。

私も、我が子を片づけができる子に育てたいと思い「片づけなさい」と繰り返し言っていた時期がありました。3度の食事の前や、お出かけ前、就寝前に言い続けたのです。しかも絶対に笑顔ではない顔で。

そうすると、私がしつこく声をかけた時だけは一瞬キレイになります。だけど、すぐに元に戻ってしまいます。言えば言うほど子どもは嫌そうな顔で片づけるようになり、挙句の果てには、子どもは収納スペースにとりあえずおもちゃを突っ込み、押し込むという方法をとるようになりました。

片づけができる子を育てたいとがんばっていたのに気づいたら、親が厳しく声をかけた時にだけとりあえず片づけたふりをする子になり、「片づけなさい」と言われ続けたことで、片づけ嫌いの子になっていたのです。

まず、優先すべきことはモノの厳選

では、どうすればいいかというと、子どもに、具体的に何をすればよいのかを言うことです。

多くの人がイメージする片づけは、モノをあるべき場所に戻すことでしょう。しかし現実問題は、モノが多すぎることがあり、なかなか進みません。

このような時は、元に戻すことではなく、必要なモノを選び残すことを優先します。

なぜなら、モノが多すぎると収納場所に戻すのが大変です。収納場所に収まりませんし、そもそも収納場所が決まっていないモノも多くあるでしょう。

だから必要のないモノは捨てて、残すモノを厳選することが重要なのですが、捨てるモノを決めるのは楽しくないので、「捨てる」という言葉を嫌がる子どももいます。

そのような時は、自分の好きなモノ、大切なモノを「選ぶ」という視点でモノを厳選するとよいのです。

自分が子どもにお願いしたいのは、どっちだろう

また、散らかっているモノを元に戻せばなんとかキレイになるときは、「片づけなさい」よりも「使ったモノを元に戻して」など具体的な言葉を使うほうが効果的です。

そして、引き出しの中などがパンパンになっていたり、明らかにモノが溜まっていると思った時には、「片づけなさい」と声をかけても、無理やり詰め込もうとするかもしれません。

そんな時に「選んで」と声をかけ、子どもに自分で必要なモノを選んでもらう時間をとるのです。

「片づけなさい」という言葉で、必要なモノを選ぶことと、使ったモノを元に戻すことの両方をする子どもはなかなかいませんし、「片づけ」という言葉の意味は非常にざっくりしています。

だから今、子どもにお願いしたいのは必要なモノを選ぶことなのか、使ったモノを元に戻すことなのか、具体的に声を掛けてあげるとよいのです。

ちょうど今は衣替えの時期です。洋服はつい増えてしまうので、衣替えのタイミングで「洋服を片づけなさい」ではなく、子どもに、この夏に着たい洋服、着ることのできる洋服を選んでもらうのもオススメです。

「うちの子は、選ぶことができない」という声を聞くことがあります。これはトレーニングなので、1回すればすぐにできるようになるわけではありません。

しかし、子どものお気に入りのモノ、大好きなおもちゃから「選ぶ」ということを始めると、驚くほど子どもは活き活きと自分で選べるようになります。

子どもに自分で選ぶ楽しさを教える具体的な方法は、私のYahoo!クリエイターズの記事をご覧ください。
〈関連情報 ~環境や時代の変化に負けない!~子どもの選ぶ力が育つ片づけ〉
https://creators.yahoo.co.jp/fujiwarayuko/0100099904

「片づけができる子」とは

散らかった状態をリセットするためには、モノのあるべき場所が決まっている必要がありますし、あるべき場所を決めるのは、自分の生活に必要なモノ、大切なモノに対してであって、存在を忘れているモノ、使う予定もないモノに対して決めるのは無駄なことです。

日々暮らしていると必ずモノは増えていきます。だからまず自分の暮らしに必要なモノ、大切なモノを選ぶことが先で、そして選ばれたモノの収納場所を決め、大事に使う、管理することが片づけと言えるのです。

「片づけなさい」と言うのは簡単です。

しかし、その言葉だけでは、本当の意味で片づけのできる子は育ちません

片づけができる子とは、使ったモノを元に戻せる子ではなく、自分の暮らしに必要なモノを、自分で選び管理できる子です。

だから、子どもには、必要なモノを選んでほしいのか、モノの収納場所を決めてほしいのか、使ったモノを元に戻してほしいのか、具体的な声掛けをしてみてはいかがでしょうか。

使ったモノを元に戻すのが上手な子を育てたいのであれば、「片づけなさい」という言葉を言い続ければよいかもしれません。

しかし、片づけは、単に散らかった状態をリセットすることではありません。

子どもが自分の身の周りの環境や自分のモノに興味を持ち、整えたり、管理できるようになるために、具体的な声かけをし、時には、自分の暮らしに必要なモノ、大切なモノは何かを考え、選ぶ時間も考えてほしいと思います。

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

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