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片づけが人生を変えた瞬間、仕事服を捨てて見えた育児への覚悟

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

今、私は片づけのプロとして活動していて、18歳、16歳、14歳、12歳の4人の子の母です。

子どものころから片づけができなかった私は第一子の妊娠を機に仕事を辞めて専業主婦になりました。はじめての出産と育児を前に、私の心には大きな不安がありました。

これまで仕事中心の毎日を過ごし、忙しいことを理由に家は散らかり放題。そんな私が育児をする日々がどんなものかも想像できず、環境の変化に対する心の準備が整っていませんでした。そんな時始めたのが片づけだったのです。



まず目に入ったのはクローゼットの中に並ぶ仕事用の服たち。どれも思い出が詰まっているものの、これからの生活に必要なものかどうかを考えると迷いが生まれました。

「またいつか仕事で使うかも…」という気持ちと「今は育児を優先する時」という思いの間で揺れ動きましたが、その時は再び仕事をしている自分が想像できなかったので思い切って仕事服を手放すことにしました。

仕事服を手放して見えた「今の私に必要なモノ」

クローゼットから仕事服が減ることで、心の中から仕事への未練も少しずつ消えていきました。そして「今は、出産と育児に集中する時」という覚悟が固まっていったのです。

代わりに残したのは、育児に必要な動きやすくて実用的な服。これからの生活に備えたまさに「今の自分に必要なモノ」でした。


片づけることで、クローゼットには「今の私」を象徴するアイテムだけが並ぶようになり、それを見るたびに自然と「今の役割」に集中する気持ちが芽生えました。

片づけは、ただモノを整理するだけでなく自分がどんな人生を選びどこへ向かうかを決める行為でもあったのです。

片づけはただモノを減らすことではない。

片づけで得た「今に集中する覚悟」は、生活の中の小さなチャレンジにもつながっていきました。

仕事の代わりに始まったのは、主婦としての生活スキル。節約や懸賞、裁縫など、今まで気にかけなかった分野にも挑戦するようになりました。

そしてその過程で、雑誌から取材を受けるような小さな成功体験も得られました。こうした経験を積み重ねることで、育児だけではなく「私自身の充実感」も得られるようになったのです。



その一つひとつの成功体験が、結果として現在の仕事につながっていると感じています。片づけをきっかけに、人生が少しずつ変わりそこに新しい道が広がっていくような実感がありました。

モノを整理して残すべきモノを選び取る行為は、「本当に大切なモノ」を見極める力を養ってくれました。それは単なる整理整頓を超えて、これからの未来にどんな自分でありたいかを考える大切なきっかけとなりました。



また『今を生きる」覚悟が生まれたことで、心に余裕ができどんな状況でも柔軟に対応できるようになったと感じます。片づけが生んだ覚悟は「今この瞬間を大切に生きる」だけでなく、新しいチャレンジへの勇気も与えてくれました。

今振り返ると、あの時の片づけは、単にモノを減らす行為ではなく「覚悟」を育てる時間だったのかもしれません。仕事から育児へ、そして新しい仕事へのシフト、すべてのきっかけを与えてくれたのは、あの時に決断して始めた片づけだったと思います。


未来に向かって進むためには、「今」の自分にとって本当に必要なモノを見極める力が必要です。そしてその力を磨くためにも、片づけを続けていくことは大切なのではないでしょうか。

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

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