【赤穂市で解説!】南海トラフ地震による津波からの避難方法|現地の避難案内板が有効
南海トラフ地震が起きると、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に、10mを超える大津波の襲来が想定されています。
もしも、出先で地震が発生したら、どこに避難すればよいか分からない方がほとんどでしょう。
このような事態を想定して、南海トラフ地震によって津波が襲う自治体では、津波から安全に避難できる手段として「津波避難案内板」を設置しています。
各自治体でパターンは異なるため、今回は筆者が前職で携わった赤穂市の「津波避難場所案内板」や「標高表示板」を例に、安全な場所に避難する方法を解説します。
まずは、地震から身を守ることが重要!
南海地ラフ地震が起きたら、まずは地震の揺れから身を守ることが重要です。
どの地域にいるのかで震度も異なってきますが、対象の沿岸部では概ね震度6弱以上の揺れが襲います。
歩行中に地震が起きたら、以下の行動を心がけましょう。
- 窓ガラスや看板などの落下物から身を守るため、頭をかばんなどで保護する
- 狭い路地や老朽建物、ブロック塀、電柱などの危険箇所から離れる
- 空き地や公園などの広い場所に一時避難し、様子を見てから移動する
- 住宅街では門や塀から離れ、瓦やガラスなどの落下物から身を守る
- 自動販売機からはすぐに離れる
建物内では動きがとれないほどの揺れとなるため、丈夫な机やテーブルなどの下にもぐり、外に振り出されないよう脚をしっかり握ります。
津波が到達する前に「避難案内板」で避難場所を確認
無事に地震の揺れから身を守れたなら、次は津波が到達する前に安全な場所に避難しなければいけません。
しかし、出張や旅行などで初めての土地であれば、どこに逃げればよいか分からないでしょう。
そんなときは、少し落ち着いて周囲を見渡しましょう。津波が襲う自治体では沿岸部に「避難案内板」(自治体で呼び名が異なる)が設置されています。
▼地図部分の拡大
これは、筆者が前職で携わった赤穂市の防災事業でお手伝いした「津波避難場所案内板」です。
大きさは縦60センチ×横約90センチで「現在地・現在地点の標高・避難方向・避難目標地点・注意喚起」など、必要な情報が掲載されています。
久しぶりに訪れましたが、設置から既に10年が経過しているため、暑い日差しや風雨にさらされて経年劣化していますが、避難場所はまだ分かります。
全体が黄色い理由は自発光式の板であるためで、日中に太陽光を蓄積し夜間に自動的に光ります。さすがに、10年が経過しているため機能しているかは不明ですが・・
案内板の設置位置と避難目標地点との位置関係
これは、現地で撮影した写真で案内板の地図に記載されている、現在地と避難目標地点との位置関係を示したものです。
避難目標地点とは、「ここまで避難すれば津波から逃れられる、現在地から最も近い場所」のこと。
赤穂市には最高2.8mの高さの津波が、最短120分で到達する予想です。この坂越地区では、地震発生からすぐに移動を開始すれば、津波避難所である「坂越公民館」まで避難できるでしょう。
しかし、何らかの条件によって避難が遅れた場合に、最も近い安全な場所に逃げることが重要なため「避難目標地点」を設定しているのです。
上記の現地写真で「案内板」と「避難目標地点」との位置関係を見ればお分かりのように、この地域ではとても近い場所に避難目標地点があり、お年寄りでも10分あれば十分に避難が可能です。
ちなみに、この地点の海岸は以下のようなのどかな場所ですが、夏には多くの観光客でにぎわいます。
「標高表示板」の矢印どおりに進めば避難場所に辿り着く
この写真は、赤穂市内約300本の電柱に設置してある「標高表示板」の1つです。
この表示板には「津波注意の文字・現在地の標高・避難方向の矢印」が記載されており「避難方向」との黄色の矢印を辿って移動すれば、避難所に到着します。
この「標高表示板」も自治体で呼び名は変わりますが、ほとんどの自治体で採用されているため、地震後に電柱を探せば安全に避難できます。
電柱でなく道路に、大きなステッカーを貼ってある自治体もあるなど、住民を守る防災対策はあらゆる自治体で進んでいます。
別の場所の津波避難場所案内板!
今回は筆者が前職で携わった赤穂市を例に、南海トラフ地震による津波から逃れる方法を解説しました。
この取り組みは赤穂市だけでなく多くの自治体が導入しているため、知らない土地であっても道路や電柱をよく見ると、津波被害から逃れられます。
また、夜間でも見えるように工夫されているため、懐中電灯やスマホのライトでも十分確認可能です。
初めての土地に出張や旅行で出かける際には、その地域が南海トラフ地震時に津波が襲うのか、国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」で、確認することをおすすめします。
そして、津波が襲う地域であるなら、今回紹介した「津波避難場所案内板」(自治体によって呼び方は異なる)や、道路上のステッカー、電柱の表示板を見つけておきましょう。